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第33話 楽しい温泉旅行 1

昨夜言っていた通り、涼太は朝早くから出かけて行った。 もしかして、例の「わかんねえ」やつと会ってるのか・・・?俺との温泉旅行の前に? 気になる・・・。めっちゃ気になる! でも準備しないと、昼過ぎには帰るって言ってたしな。 ・・・気になる!いやでも準備しないと! もうすぐ12時。涼太の行き先が気になりつつも、俺は早めの昼食を軽く済ませ、着替えて涼太の帰りを待っていた。 13時過ぎ 「ただいまー」 「おかえり。どこ行ってたんだよ」 誰かと会ってたのか?とは聞けない小心者の俺・・・。 「あー、ちょっと家に」 家・・・。よかった~!誰かと会ってたんじゃなくて。 朝からずっと悶々としていた俺は、全身の力が抜けるほど安心した。 「準備出来てるなら、もう出るぞ」 「ハイ!できてます!」 安心した俺は早速テンションが上がる。 イヤイヤ、問題は解決してねぇ。安心してる場合か! ・・・とはいえ、せっかくあさみさんが用意してくれたチャンス、有意義にしねえと。 「おい、こっち」 外に出て駅の方へ向かおうとする俺を呼び止める涼太。 涼太について行くと、駅とは反対方向に歩いて、有料パーキングに入っていく。 黒のSUV車の前でピピッと音が鳴る。 え、もしかして・・・ 「乗れよ」 ええ~~~!涼太が運転すんの!? 「ちょ、涼太、運転とかできるの?」 「ほんと失礼な、おまえ。家出るまでは、ふつーに車通勤してたっつーの」 「まじか・・・」 そういえば涼太、高3の冬休み、カズとふたりで教習所の合宿行ってたっけ。 車に乗り込んで、シートベルトを絞めたあと、さりげなく涼太がメガネをかける。 やっべえ・・・カワイイ。涼太のメガネかけてる顔とか!萌えすぎる! そして、運転する姿がイケメンすぎる! ・・・ヤバイ。旅館に着く前にキュン死にしてしまう・・・。 途中で休憩をはさみつつ、旅館に着いたのは17時頃だった。 リニューアルしたばかりの旅館は、純日本風の造りで、各部屋に露天風呂付きの高級旅館といった感じ。 「あさみさん、顔がいいだけに彼氏もすげー人なんだな・・・」 「あのドス黒に引かねえんだから、よっぽど心の広い人なんだろ」 ふたりであさみさんの彼氏に感心しつつ、夕飯の前に、大浴場に向かった。 「あ~!やっぱ風呂は広い方がいいな!部屋の露天も後で入るけど、まずは大浴場だよな!」 広い風呂にご満悦の涼太。 コンプレックス其ノ弐があるため、湯船に浸かる時以外はタオルを巻いているが、涼太の裸に俺は気が気じゃない! こんな堂々と涼太のベビーピンクが見れるなんて!神様、あさみ様、あさみさんの彼氏様、ありがとうございます~! 他の客にも見られてるってのが、おもしろくねえけど・・・ 十分に温泉を満喫した俺たちが部屋に戻ると、テーブルには既に、豪華な食事が並んでいた。 「やったー。メシだメシ!腹減った~」 昨日はあんなに暴れてたのに、なんだよ、この変わりようは・・・ほんっとかわいいな!クソ! 「失礼します~」 料理に手を付け始めたところに、部屋の外から声がかかる。 仲居さんか? 「ハイ、どうぞ」 「すみません、失礼します~」 「え?」 部屋に入ってきた女性を見て、言葉を無くす俺と涼太。 「えへ♡見に来ちゃった、二人の浴衣姿♡」 「あ、あさみさん・・・なんで・・・?」 「仕事、全力で片付けて、生BL拝みに来ちゃった♡」 涼太の顔が・・・死んでる・・・。 あさみさんの突然の登場に、困惑しかない俺たちだった。

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