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第35話 楽しい温泉旅行night 1

「覚悟決めろ、涼太」 覚悟って、なんの覚悟だよ! うう、マジで屈辱・・・なんで上司の前で男とキスなんか!しかも、なんか攻められてる感じになってっし! 「!」 青の舌がヌルッと入って来て、胸のあたりがゾクッとする。 ちょ、青?舌入れるまでやんなくても!軽めって言ったのに~! ヤバイ。このキスされると、なんも考えられなく・・・ じーーー・・・ あ、やば。あさみさんが見てんのに・・・てか、動画撮りながらめっちゃ見てる! 「はぁっ、も、いいだろ!」 青の体を何とか押しのけて起き上がる。 「男同士のキスなんか見て気持ち悪くないんすか」 「なんで?美しいじゃない!尊いじゃない!攻めも受けもイケメン、最高じゃない!滅多に見れないのよ!貴重なの、国宝なの!」 何?なんの呪文だよ! 仕事中とのギャップありすぎだろ、この人・・・。 「だいたいあさみさん、最初はオレと寝たがってませんでした?」 「そうよ。だって、すごくかっこいいんだもの。でも、小林くんは青くんのものだから、私なんかが手を出しちゃいけないの!」 「なんでそーなるんですか・・・オレはあさみさんで脱童貞しようと思ってたのに」 「あらそーなの?残念」 「はあ」 なんで自分が狙ってた男が、男とキスしててヘーキなんだよ、このババア。 「涼太、まだ脱童貞とか言ってんの?」 「・・・それ、は、男なら誰だってそう思うだろ」 「へえ・・・」 青が少しの間を置いて、オレから離れてあさみさんの隣に座る。 「じゃあ、選ばせてやるよ。俺か、あさみさんか」 「え!?どーゆーことだよ?」 「涼太が、男と寝るか、女と寝るか、選ばせてやるって事」 「ちょっと、青くん!何よそれ!」 「あさみさんはちょっと黙ってて。どーせ最初は涼太とやるつもりだったんですよね?」 「それはそうだけど・・・」 「ほら選べよ。どっちかの手を取ればいい」 え、ちょっと待って。なんだよ急に・・・選べって。 そんなん、青の手を取るわけにいかねーじゃん・・・。だって、オレ男なのに、あんな恥ずかしい思いして・・・。ムリだろ・・・。 悩んだオレは、あさみさんの方に手をのばす。 ガシッ あさみさんの手に触れる寸前で、横から青に手首を掴まれる。 「え?・・・な、なに?」 なに?なんなの? 「寝たい方を選べとは言ったけど、抱かせるとは言ってねぇ」 「は?」 「よーくわかったよ、涼太。・・・二度と女と寝たいなんて考えらんないくらい、ドロドロに気持ちよくしてやる」 「え、待って。青、冷静になろ・・・」 あ、これまじでヤバイ。青の目、完全に座っちゃってるし・・・ 「あさみさんの前で、理性ぶっ飛ぶくらい泣かせてやるよ」 「イヤ、オレ気持ちよくなんなくてだいじょぶだから・・・ちょ、ほんと待っ・・・」 片手で頭を引き寄せられ、噛み付く様に青が唇を重ねてくる。 「うぅっ、はぁっ、は、」 ダメだ。声だけは出ないようにしねえと・・・ 「男にキスされて物欲しそうに善がってる顔、ちゃんとあさみさんに見てもらえよ」 「いや、だっ」 視界の端にあさみさんの姿があって、こんな自分を見られていると思うと、いたたまれなくてぎゅっと瞼に力が入る。 青は唇を塞ぎながら、オレの帯に手をかける。 「待てって!ほんと、頼むから!」 「うるせえな、おまえは俺の事だけ考えてろ」 近くにあった手拭いを青に巻かれ、視界を奪われてしまう。それに気を取られ、解かれた帯で両手の自由も奪われてしまった。 「あおっ、ほんと待って!無理!」 そのまま青に引っ張られて、急に突き放され、倒れ込んだ場所は これ、布団の・・・上? 嘘だろ・・・

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