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第40話 誕生日は大人になる日 1
宮野と飲みに行く約束をしている事を涼太に聞いてから、気持ちがザワついたまま、涼太の誕生日は明日に控えていた。
その間も、涼太への好きもキスもかかさずしてきたけど・・・なんか、虚しくなってくるな・・・
「青、オレもう寝るけど、ちゃんと電気消して寝ろよ」
リビングで一緒にテレビを見ていた涼太があくびをしながらソファから立ち上がる。
「涼太」
寝室に入ろうとする涼太を引き止めて、いつもの様にキスをした。
「・・・っ、ほんっとおまえ、いつまでこんなん続けんだよ」
「涼太が俺の事、好きになるまで」
「・・・アホか」
無表情で呆れる涼太。
「あ、オレ明日、仕事終わったら、のぞむと飲み行くから」
「・・・は?」
明日?誕生日当日に?宮野と過ごすって事?
「じゃ、おやすみ」
バタン
え、嘘だろ・・・。
涼太の部屋の前で立ち尽くす俺。
嘘だろおぉぉぉぉぉぉ~!!
誕生日当日21:30
「あ、涼ちゃん、来た来た」
オレは仕事帰りに駅でのぞむと待ち合わせて、近くのダイニングバーへ入った。
「なんかさ、女の子、遅れて来るって言うから、とりあえず先飲んじゃお?」
のぞむが呼んだ女の子が遅れてくると聞いて、少しホッとする。
脱DTとか言ってっけど、正直、びびってたからな・・・
・・・なんか、青に後ろめたさも多少はあるし・・・
「涼ちゃん、何飲む?俺はビール頼むけど」
「うーん、苦くないやつがいいな」
「じゃあ、最初は飲みやすいやつのがいっか」
酒の事なんかわかんないオレはとりあえず、のぞむにまかせることにした。
「涼ちゃん、いっつも炭酸飲んでるから、スパークリングワインにしたよ。飲みやすいけど、けっこー強いから、気をつけてね、じゃ、かんぱい!」
のぞむとグラスを合わせて乾杯して、ひと口飲んでみる。
「どお?」
「なんかジュースみてえ。うまい」
「よかった~。初アルコール、気に入ってもらえて」
「よし、とりあえず、飲むぞー!」
初アルコールでテンションが上がったオレは、ワインの飲みやすさも手伝って、調子に乗って飲んでいた。
う・・・、頭いってえ・・・やべえ、調子こいて飲みすぎた。
頭痛がして、ようやくオレは、今いるところがさっきのダイニングバーではない事に気づく。
え、ここどこ・・・?
薄暗い部屋で、少し離れたところに大きなベッド。
オレの右側には二人掛けくらいの大きさのソファに座るのぞむ。その前には丸いローテーブル。
左側は壁になっていてドアがあり、壁の向こうからシャワーらしき音が聞こえる。
「あ、涼ちゃん、起きた?」
「・・・のぞむ。わりー、オレ飲みすぎて・・・え・・・?」
なんか、体、動かね・・・
自分の体を見下ろすと、なぜか椅子に座らされ、その椅子に付いた拘束具で手足を拘束されている。
なんだこれ・・・
「やっと起きたの?お姫様」
え、誰?・・・お姫様?え、オレ?
バスルームらしき所から、バスローブを着たキレイなお姉様が出てきてオレに向かい合って、ベッドに腰掛ける。
「涼ちゃん、どお?このおねーさん。涼ちゃんの初めてにふさわしいように、俺の知り合いの中でも一番キレイな人にしたんだよ?」
「のぞむ、オレちょっと状況整理が・・・」
のぞむが近づいてきて、俺の顎に手をかけ、グイッと上を向かされる。
「ああ、でもやっぱ、涼ちゃんがいちばんキレイだな。俺、涼ちゃんが欲しいんだよね」
え?何をほしいって?
のぞむの顔が、間近に迫ってくる。
「ねえ、涼ちゃん。そこのおねーさんで童貞捨てた後でいいからさ」
なに?なにが起こって・・・
「抱かせてくれない?」
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