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第53話 恋人orNOT恋人 1
涼太から好きと言ってもらえてから、一週間。
あの告白が嘘みてーに何事もない・・・なんにも生活が変わらない・・・!なんでだ・・・
涼太は社会人で俺は学生。
すれ違いはしょうがないとしても、おはようおやすみ行ってきますただいまのキスくらい、涼太からしてもバチ当たんないんじゃないのか?
なんで毎回、俺からなんだよ!?
「・・・はよ」
「おはよ。・・・涼太、ん」
起きてきた涼太をキス待ち顔で迎えてみる。
「・・・なに、その顔。朝からキモイ」
えええ~!
き、キモイとは・・・
おまえの好きなやつのキス待ち顔だぞ!キモイとはなんだよ!
ほんとに俺の事、好きなのかよ・・・
顔を洗いに行こうとする涼太を引き止め、俺からキスをすると、涼太の肌が赤く染まる。
・・・これは、やっぱ俺の事好き、って事でいいんだよな?
これはこれで、嬉しいんだけど。
やっぱり両想いになったからには、涼太からもキスしてほしい。
「なあ、涼太からはしてくんねーの?キス」
「はあ?朝から寝るまで、ちゅっちゅっちゅっちゅっうるせんだよ。中学生か、てめぇは」
ちゅ、中学生~!?おまえに言われたくねぇわ!
それが恋人に対する態度か!?
・・・恋人?・・・俺たち付き合ってんだよな?好き同士なんだから。
イヤ待て。涼太は恋愛初心者だぞ。(俺もあんましかわんねーけど)
あいつ、好きって言って、満足しちゃってんじゃないか?もしかして。
朝食の間も涼太を観察してみるが、「好き」前と違うようには見えない。俺の事を気にする様子も、まっっっっったくない。
いつもの様に朝食を終えて、歯を磨き、自室に着替えに行く涼太。
意識してんの、俺だけ?
涼太は、着替えて玄関で靴を履く。
やっぱ、涼太からのキスは、無しだよな・・・
「おい、青」
涼太に呼ばれて玄関へ行く。
「いつものやつは?」
涼太はそう言って俺から視線を外す。
くう~!なんだよ、それ!ダメだ・・・かわいすぎる!
「気をつけてな」
俺がちゅ、と口付けると、涼太はまた顔を赤くして、部屋を出ていく。
はあ~。今日もいい朝だ!
涼太からキスしてくれなくても、いいじゃねーか!
正直、してほしいけど・・・
「青くん、隣いい?」
「加藤、おはよ。どーぞ」
最近、毎日隣に来るな、この子。
「好きな人とはその後どお?」
またその話かよ。こいつ、俺の事好きだな、絶対。
「順調だよ」
特に変わったことなんか、なんもないくらい順調だよ。ほっとけ!
・・・って女の子に言えねーしな。
「山田、俺も隣いい?」
「げ、宮野。・・・ドーゾ」
「あからさまだなぁ。傷付く」
「テメーは基本的に、俺に絡んでくんじゃねーよ」
「ええ~、山田がかわいい女の子と、いつも一緒に講義受けてるって、知ったら涼ちゃんショックなんじゃないの~?」
「青くんの好きな人、りょうちゃんって言うんだ」
「そーなんだよ、さやちゃん。めっちゃキレイな子なんだよ~。俺も惚れてるくらいなんだから」
「宮野、うるさい。おまえがあいつの話するとムカつく」
涼太は許したみてーだけど、俺はあの時の事、許してねぇからな!
「青くん、ほんとに好きなんだね、その人のこと」
「そーなんだよね~。あ、そーいや、さやちゃん、今日ゼミの飲み会行く?」
「どうしよっかな。迷い中」
「山田は行くよね?たまに行かなきゃ、先輩達シラケちゃうよ?」
勝手にシラケてろよ。
でも、たまには顔出さないとな。
「行くよ」
「山田も行くって言ってるし、さやちゃんも行こーよ!女の子いなきゃ盛り上がんないし」
「じゃあ、行こうかな」
涼太は俺が何してよーと、気にしないだろーけど、一応メッセージ入れとくか。
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