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第54話 恋人orNOT恋人 2

『今日はゼミの飲み会で遅くなります』 『はい』 涼太に送ったメッセージは、かなりあっさりとした返事が返ってきていた。 別に、はなから涼太に気にしてもらえるとは思ってないけど、なんかもっとあるだろ・・・恋人が飲み会行くんだぞ! まあ、俺はまだ酒飲めないけどさ。 はっきり言ってゼミコンなんてめんどくせーだけだし。人数も少ないし、途中で抜けにくいしな~。 「山田、行くよ~」 はあ。 行くと言ったものの、めんどくせぇ。 「おー、山田、おまえが来るとかめずらしいじゃん」 「たまには顔出そうかと思って。まだ飲めないすけど」 「いんだよ、付き合い大事だからな~!ウーロン茶でも飲んでろ、おまえは」 ゼミの先輩達と挨拶をして、居酒屋の端の方の席に座る。 「山田の隣すわっちゃお」 「宮野、おめーは離れて座れ。絡むなっつてんだろ」 「つめてーな、涼ちゃんを取り合った仲なのに」 宮野はちぇっと言いながら、俺の向かいの席に座る。 「取り合ってねえ。おまえが勝手に欲しがってただけだろ」 「りょうちゃんて、そんなにキレイな人なんだ。ふたりが取り合うくらい」 加藤が俺の隣に座る。 「めっちゃキレイだよ。俺が見てきた中で一番だな」 「おまえがあいつを語るな。マジ腹立つ」 あー、気分悪い。 「酔っ払った涼ちゃん、かわいかったな~。あ、山田まだ飲めないんだもんね、早く涼ちゃんと一緒に飲めるといいね」 「うるせえ」 「青くん、誕生日いつなの?」 「3月」 「そうなんだ。じゃあまだ我慢だね。私、飲んじゃお。宮野くんも飲むでしょ?」 「飲む飲む~。さやちゃんはお酒強いの?」 「そんな強くないよ」 「加藤、あんまり飲みすぎると、向かいの変態に襲われるかもしれないから気をつけろよ」 「ちょっと山田。いくら俺でも、女の子にそんなことするわけないでしょ」 「どーだか」 宮野と加藤とくだらない話をして、気がつけばもう23時近くになっていた。 涼太、もう帰ってるよな。俺もそろそろ・・・ 「!」 右肩に重みを感じて振り向くと、酔った加藤が寄りかかってきていた。 「あちゃー。さやちゃん潰れちゃったみたいだね」 宮野がニヤニヤしながら俺を見る。 「おーい、二次会行くぞー。・・・なんだよ、さや、ダウン?」 ゼミの先輩が加藤の肩を叩くが、加藤は動かない。 「つまんねーな。おい、山田、おまえシラフなんだから送ってやれよ。頼んだぞ~」 「え!?」 周りを見ると、二次会へ行こうと盛り上がっているやつらばかり。 ・・・はあ。しょうがねーか。 「了解デス」 「山田~、襲っちゃだめだよ?」 俺と加藤を残し、宮野たちは居酒屋を出ていってしまった。 「加藤。おい、だいじょうぶか?」 「う・・・ん」 「歩けるか?」 「なんとか・・・腕、借りてもいい?」 「ああ」 加藤がふらつきながら、俺の腕にしがみついてくる。 う、香水くせえ・・・ さっさと送って帰ろ。 加藤から漂ってくる甘ったるい匂いに気分が悪くなりつつも、腕にしがみつく加藤をアパートのドアの前までなんとか引っ張ってきた。 「着いたぞ。じゃあな」 「・・・待って、青くん。ひとりじゃ歩けない。中まで連れてってくれないかな?」 「・・・玄関まででいいなら」 めんどくせえ! こんなんなるまで飲むなよな! 俺はドアの前に座り込む加藤を支えて、部屋の玄関に入った。 「後は這ってでもいけるだろ。女の子がそんな飲み方してたら危ないと思うぞ。じゃあ・・・」 「青くんは襲ってくれないの?」 は? 部屋を出ようとしていた俺は、加藤の言葉に思わず振り返る。 「私、青くんになら、襲われてもいいよ」 ついさっきまで、歩けない、とか言っていた加藤が、立ち上がり、俺の首に腕をまわして抱きついてくる。 突然加藤の体重がかかったため、バランスが崩れ、加藤に覆い被さるかたちで倒れてしまう。 「ね、エッチな事、しよ?」

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