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第56話 恋人orNOT恋人 4
「涼太、目逸らすなよ」
「いやだ」
「ほんとワガママ」
目を合わせようとしない涼太の頭を押さえつけて、キスをする。
「・・・やめろ!他の奴とした後にオレにキスすんな!」
「なんで?」
「なんででも!」
「理由になってねぇ。理由がないなら俺はやめねーから」
もう一度、今度は深く舌を涼太の咥内に滑り込ませ、上顎を舌でなぞる。
「あ、・・・や、め」
抵抗している涼太の腕の力が弱まる。
「やめて欲しいなら、キスしたくない理由、言えよ」
「オレを、好きって言った」
「言ったよ。何回でも言ってやる、涼太が好きだ」
「な、のに、女とキス、した」
「したよ」
勝手にされただけだけど。
「なんで・・・?」
急に涼太の声が震える。
「したくてしたわけじゃない」
「でも、した。それなのに、そのままオレにキスすんの、やだ。汚ねー」
「じゃあ、歯磨けばいいのかよ?」
コクコクと頷く涼太。
「あとクサイ。それ青の匂いじゃねーから」
く~~~!なんだそれ!俺の匂いじゃないとか!こいつ、マジで俺の事殺す気か!突然かわいい事言うんじゃねーよ!
「シャワーしてくるから、待ってろ」
「・・・うん」
「・・・その間に寝たり、部屋に篭ったりしたら、外で犯すからな」
「う・・・しねえよ!待ってりゃいーんだろ!」
あいつ、絶対逃げる気だったな・・・。
シャワーを浴びてリビングに戻ると、涼太がいない。
「なんでいねーんだよ!見つけたらぜってー外で犯す!」
「ここにいるし」
涼太が俺の部屋から顔を出す。
「ソファじゃやだし。オレのベッドも汚れんのやだ」
「え、それって、最後までヤッていいって事?」
「ダメっつったらやんねーのか?」
「やるに決まってんだろ」
「ならいちいち聞くな」
やっぱ、俺は涼太が好きだ。と改めて思う。
嫉妬して欲しかったり、恋人らしいこともしたかったり、欲を言えばキリがない。
でも、結局、俺の傍に涼太がいてくれれば、それだけでいいんだ。
ベッドに涼太を押し倒して、深いキスをする。
キスだけでふにゃっとなった涼太が、めずらしく自分から抱きついてきて、俺の首元で深呼吸した。
「青の匂いに戻った」
なにこいつ、なにこいつ!「好き」前とぜんっぜん違うじゃねーか!かわいさアップしてんじゃねーか!やばい、マジで死ねる。
普段の無表情からは想像もできない、このデレ!たまんねぇ!
ふー。興奮してしまった・・・、落ち着け俺。
「涼太、好きだよ」
「知ってる」
「じゃなくて、涼太からもなんかあんだろ」
「あー、うん」
「ちゃんと言って」
「じゃあ・・・おまえ、オレのこと好きって言っといて、女とくっついてキスまでして帰ってくるなんて、ほんっとサイテーだな」
「え・・・?」
「こーゆーのを、世間一般では浮気って言うんだな」
「え、ちょっと、俺そういうこと言ってほしいんじゃ・・・」
「オレたち、恋人なんだろ?だから、おまえは浮気者って事だよな?」
「すいませんでした!!」
この後、土下座してなんとか許してもらったが、キスより先は、お預けをくらってしまったのだった・・・。
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