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第57話 So sweet 1
俺は今、とてつもなく欲求不満だ。
涼太という、めっちゃ可愛い恋人がいるというのに!付き合ってから1回もセックスしてない・・・
昨日だって、どう考えてもラブラブセックスの流れだったろーが!
それもこれも、あのビッチ加藤のせいだよ・・・もーほんとあいつ無理だわ。
「青ー。今日、みおりがまたかーちゃんの料理持ってくるってゆーから、またハンバーグ奢って貰おーぜ」
「なんで美織さんに奢らすんだよ。ハンバーグ食いてーなら俺が出してやるのに」
「いーんだよ、あいつ金だけは持ってっから!」
ピンポーン
「もう来やがった。連絡あってから来るまでがクソはえーな。ハイハイー」
涼太がドアを開けに行く。
「涼くん、早起きね。家にいた時はいつまでも寝てたのに」
早起きって、もう10時過ぎてるけど。
「だろ?じゃあハンバーグ奢ってよ」
いきなりかよ!
「しょうがないな」
いいのかよ。
「とりあえず、これ。お母さんからのビーフシチュー。好きでしょ」
「さんきゅー」
「美織さん、お久しぶりです」
「青、涼くんがいつもお世話になってます」
美織さんが、意味ありげにニコッと笑う。
・・・美織さんには言っておいた方がいいかな・・・
「あの、美織さん。俺、涼太と付き合うことになりました」
「青っ!みおりに何言ってんだよ!」
「姉さんでしょ」
「ぐっ・・・」
すかさず涼太のスネを蹴る美織さん。
「私に隠さなくてもいいの。別に反対しないわよ」
「え、でも男同士・・・」
「関係ないでしょ。異性を好きにならなきゃいけないなんて誰が決めたのよ。人を好きになるのは普通のことなの」
「ありがとうございます」
「いいんだ・・・そっか。じゃあハンバーグ食いに行こーぜ」
涼太、この流れで!?
「そうね。行きましょうか」
どんだけハンバーグ食いたいんだよ、この姉弟・・・
俺達は、いつものハンバーグ専門店に入って、少し早めの昼食をとる。
「早い時間でよかったわね。混んでないし」
「ねーちゃん、こっちのも頼んでいい?」
「好きなだけ食べな。いっぱい食べて少しでも賢くなってね、涼くん」
「いえーい」
おい、涼太、姉にバカにされてるぞ。
三人でハンバーグを食べていると、店に入ってくる見知った顔。
「げ、宮野。・・・と加藤」
最悪な組み合わせじゃねーか!早く食って帰んねーと、まためんどくせーことに!
「あー、山田と涼ちゃんだ~!」
宮野、気づくんじゃねえ!そして絡むんじゃねえ!
「のぞむじゃん。ほんとよく会うよな」
「そーだよね。これって運命なのかな?」
「なわけねーだろ。ひとりで言ってろ宮野」
早く去れ!
「青くん、その人がりょうちゃん?」
「加藤、おまえには関係ないことだろ」
おまえまで絡んでくんなビッチ加藤!
「関係なくない。わたし、青くんが好きだもん!」
だもん!じゃねーよ、もー、うっとおしい。
「りょうちゃん、確かに美人ね。大人っぽいし。だけど、宮野くんにも青くんにもいい顔して最低」
「オイ加藤。いいかげんにしろよ」
「彼女でもないのに青くんの事、弄ばないで!」
パンッ
「あ」
ヤバイ。非常にマズイ。
その場の空気が凍りつく。
「さやちゃん、人違いだよ。その人、涼ちゃんのお姉さん・・・」
加藤がビンタをかましたのは、美織さんだ・・・。
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