58 / 210

第58話 So sweet 2

「さやちゃん、人違いだよ。その人、涼ちゃんのお姉さん・・・」 「え!?」 「涼太はこっちだけど・・・」 俺が涼太を指さすと、顔が青ざめる加藤。 「え、涼太?・・・って、りょうちゃんて、男?」 「小娘・・・」 ヤバイ。美織さんがキレてる。 ドスッ 「うっ!・・・なんでオレ?」 なぜか腹に美織さんの裏拳を食らう涼太。 「女の子殴るわけにいかないでしょ」 「だからって本気で入れんなよ!ババァ!ハンバーグ出ちゃうだろーが!」 「ババァ?本気でシメるわよ」 なぜか、姉弟ゲンカになるふたり。 「さやちゃん、とりあえず謝りなよ」 宮野が加藤に促す。 「青くんの好きな人って、男なの?」 加藤が宮野の言葉を無視して涼太の方を見る。 「そうだよ」 「なにそれ。気持ち悪い」 「加藤が気持ち悪かろうが関係ない。別に加藤に迷惑かけた覚えもねぇし。ほっといてくれる?」 「っ・・・。あんた、男のくせに青くんの事、誑かして恥ずかしくないの?女みたいな顔して、青くんの事も宮野くんの事もたらし込んでんじゃないわよ!いやらしい!」 「加藤、それ以上涼太になんか言ったら、女でも容赦しねえぞ」 ドスッ 「うぐっ!・・・だからなんでオレだよ」 美織さんが涼太にもう一発入れる。 「ガキども、うるさい。お店にも他のお客さんにも迷惑。話するなら外行け」 美織さんに言われて、俺と涼太と加藤は店の外へ出た。 「青くん、なんで男なの?青くんてゲイなの?」 「違うよ」 「じゃあ、そっちがゲイ?」 「涼太も違う」 「じゃあなんで?」 「おまえに関係ないだろ、なんなんだよ。ほっとけ」 「おかしいよ、男同士なんて。ほんと気持ち悪い」 「誰もかまってくれなんて言ってねーだろ。気持ち悪いなら関わるな」 こいつ、マジうぜーな。 「あのさ・・・」 今まで黙っていた涼太が口を開く。 「加藤さん?が青の事、好きで、オレたちの事、認められねーなら、気が済むまでオレのこと殴っていいよ」 「涼太!何言ってんだよ」 「でも、オレも青の事、譲る気ねぇから」 え!涼太がそんな事言うなんて嘘だろ・・・。 涼太の言葉に胸が焼けそうなほど熱くなる。 「マジありえないんだけど」 「オレもそう思ってた。でも好きになった」 パシッ 加藤が涼太の頬を叩き、爪が掠って涼太の目元に薄ら血が滲む。 「・・・あんたも青くんも宮野くんも、ほんとキモイ!」 そう言い捨てて加藤はこの場から立ち去る。 「はあ。オレ、つくづく女に縁ないわ・・・」 肩を落とす涼太。 「涼太、血出てる」 俺が涼太の目元にそっと指を滑らせると、涼太はビクっと肩を竦めた。 ヤバイ。キス、してぇな。 涼太に顔を寄せると、真っ赤になった肌が誘っているように見えてしまう。 「あ、青っ!」 「・・・何?」 「姉ちゃんたち、見てるから!」 ガラス張りになっている店内を見ると、美織さんと宮野がこっちをじーっと見ていた。 「つ、続きは家帰ってからしよ?」 涼太が恥ずかしそうに俯く。 「はあ。わかったよ」

ともだちにシェアしよう!