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第67話 かわいい後輩 1
・・・もう朝か。
オレは、カーテン越しに空が明るくなってきたのに気づいて、ベッドから起き上がる。
全然寝れなかったな・・・。
青、まだ怒ってるかな。
寝室から出て、青の部屋のドアを見つめる。
まだ5時だし、さすがに起きねーか。
なんか、顔合わせんのも気まずいし、早めに用意して仕事行くか・・・。
涼太、もう起きたんだ。あいつがこんな早起きすんの初めてなんじゃないか?
眠れなかった俺は、隣の部屋から聞こえる足音やドアの音で、涼太が起きたことを確認する。
ったく、昨日の涼太、なんだったんだよ。加藤が何してたか知らねぇけど、なんで俺の事、信じねんだよ。
あー、腹立つ。
あんなに涼太に対して怒鳴ったの、初めてかも・・・
顔、合わせづらいな・・・
今日、3限しか入ってねーし、涼太が仕事行くまで寝たフリしとくか。
「おっはよ、山田」
宮野・・・。今おまえの相手してる気分じゃねぇ。
「加藤、見かけなかった?」
「さやちゃん?さあ?今日はまだみてないけど、なんかあった?」
「・・・いや。みてないならいい」
とりあえず、加藤と話しねえと。
「あ、来たよ、さやちゃん。おーい、さやちゃん、おはよ」
「宮野くん、青くん、おはよ。ふたりいつも一緒なのね。ほんっと仲良いのね」
加藤の言葉にトゲがある。
「加藤、昨日涼太に何したんだよ」
「なんにもしてないよ。帰り際にぶつかった。それだけ」
ぶつかっただけ?わざとだろ。
「なに?どうかしたの?」
加藤が嫌味たらしい笑顔で聞いてくる。
「・・・別に。ただ聞いただけだ」
「そ?じゃあ、私、先入るね」
そう行って講堂に入っていく加藤。
なんだ、あの顔。なんか企んでんな、あいつ。
「涼太さん、おはようございます!」
「タケルおはよ」
「あれ?なんか涼太さん体調悪いですか?顔色悪いですよ」
「ちょっと、寝不足で」
オレそんな、人にわかるくらいひどい顔してんの?
ダメだな。ちゃんと仕事しなきゃいけねーのに、なんだろ。なんか、昨日からずっと気持ち悪い・・・。
ダメだ。何やってんだよ。タケルのスケジュール確認して、えっと、今日は何のOJTが入ってたっけ・・・
「涼太さん、本当に大丈夫ですか?」
後輩に心配されてどーする、オレ!しっかりしろよ!
「全然へーき。ありがとな」
なんとか一日乗り切って、タケルと一緒に店を出る。
ヤバイな。仕事終わったと思ったら、急に眠気が・・・早く帰って寝よ。
「今日、早番でよかったですね。涼太さん辛そうだったし」
「オレそんなつらそうだった?社会人失格だな」
ほんと、こんな気持ち悪くなるくらい青のことばっか考えて、体調崩すなんてバカじゃん。
「涼太さんが弱いとこ見せてくれるの、俺、堪らなくなります」
「あ、ごめん。後輩に気つかわせて、情けねーな、オレ」
「もっと頼って欲しいです。涼太さんが好きだから」
「ほんと情けないよな・・・って、え?」
なんだ?今、タケル、サラッと好きとか・・・いやいやそんなわけねえ。
「俺、インターンシップの時に涼太さんに色々教えて貰って、すごくいい人でかわいくて憧れて。それでこの会社に就職したんです」
え、何話し始めちゃってんの?先輩としては嬉しいんだけど、なんか、やな予感する・・・
「俺、涼太さんが好きです」
これじゃ、青が心配した通りになってしまう。
「タ、タケル?それって、先輩としてってことで間違いないよな?」
「違います。先輩としてももちろん好きです。けど、その好きじゃないです」
どの好きだよ!
「涼太さん、付き合ってるのは、『彼女』じゃないですよね?」
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