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第73話 誘惑の夜 2
「おはようございます。涼太さん、二日間、お願いします」
「おはよ。荷物後ろ乗っけて、前乗って」
今日から二日間、オレとタケルはここから車で3時間半ほどの新店まで出張。
「朝早かったから、寝てていーよ。着いたら起こすし」
「運転してもらってんのに、寝れないですよ。それに、涼太さん隣にいて寝るなんてもったいないです。メガネとか・・・反則です」
反則??なんで?
「あー、運転すんには視力足んねーから」
「そうなんですね。メガネかけてると、大人っぽく見えますね」
・・・一応、成人した大人なんだけどな、オレ。
タケルと仕事の話をしながら3時間半の道のり。気づけばいつの間にかタケルは、助手席のドアにもたれて眠っていた。
朝早かったもんな。お子ちゃまは眠いよな。
オレも眠いわ・・・。結局、4日間連続で青とヤっちゃってるし。まあ、突っ込まれたのは初日だけだったけど。
「タケル、着いたぞ。起きろ」
駐車場に車を停め、タケルの肩を揺らす。
「ん・・・、あ!すいません。俺寝ちゃってた」
「気持ちよさそーに寝てたわ」
「涼太さんの運転、意外にも丁寧で・・・もっと荒いかと思ってました」
「オイ、失礼だぞ」
「ははは。すいません」
新店はまだオープン前の準備期間のため、売り場のレイアウト作成、商品の陳列、新人スタッフの育成などをして一日目が終わる。
「あー、やっと終わった!ずっと裏方の作業で12時間拘束って疲れますね。俺、接客の方が合ってる気がします」
「タケル、愛想笑いとか得意そーだもんな」
「愛想笑いじゃないですよ!心からの笑顔ですって」
「あ、エリア長からメール来てるわ。部屋とってあるから、フロントでオレの名前言えばいいって」
エリア長からのメールでホテルの場所を確認して向かう。
「すみません。予約してある小林です」
ホテルのフロントでカードキーを受け取る。
・・・え?一枚?
「あ、えと、もうひと部屋取ってないですか?」
「少々お待ちください。・・・小林涼太様、二名様。ツインのお部屋でお伺いしております」
え!同じ部屋!?
「あー、えと、別々にしてもらう事って・・・」
「申し訳ございません。週末でして、あいにくお部屋が埋まってしまっております」
「あ、ソウデスカ・・・」
・・・まあ、タケルなんもしないっつってっし、同じベッドで寝るわけじゃねーしな。
エレベーターに乗り込み6階のボタンを押す。
・・・なんかこのエレベーター、狭いし、タケルが近い気が・・・
背中のすぐ後ろにタケルの気配があって、なんだか落ち着かない。
青やのぞむだったら、こーゆー時、ちょっかい出してくるはず。
ああ~、早く着けよ、6階!
エレベーターが6階で止まり、ドアが開く。
ホッ、何もなかった。
そして、オレ達はひとつの部屋へと入った。
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