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第78話 フェロモンとは 4
「俺も今くっついてるだけ。おまえは男にくっつかれたらこんなんなっちゃうんだ?」
俺の言葉に涼太は肩を震わせる。
「涼太?」
「青・・・以外に、こんなん・・・なりたくなんか」
え・・・もしかして・・・
「泣いてんの?」
「泣いて、ない」
でも声も肩も震えて・・・
やべえ。ちょっとイジメすぎたか?
「涼太、ごめん。涼太が一晩いないだけで、俺、すげー心配で」
ぎゅ、と涼太を抱きしめる。
「おまえの事になると、すげぇ心狭くなっちゃって・・・どこにも行かせたくない。誰にも見せたくない」
「・・・無理だろ」
「わかってる。でも、隙だらけですぐ男寄ってくんじゃん」
「オレのせいじゃねぇし」
「それもわかってるよ。勝手に涼太に寄ってきてるだけだ」
男なのになんで男ばっかり。涼太からなんか出てるんじゃないかと思うくらい。
「オレ、どうしたらいい?」
こんな事言うなんて、涼太らしくない。
なんで・・・?
「青、以外好きじゃないって、どうやったら信じてもらえんの?」
心臓を鷲掴みにされたみたいに、ぎゅん、と苦しくなる。
やっべぇ・・・今の、かなりキた。
「俺も、涼太が好きすぎて、どうしていいかわかんねえ」
「なんだよ、それ」
なんか、もう我慢できねーな・・・
「今更だけど、触っていい?」
涼太に聞くと、コクンと頷く。
「どこ、触って欲しい?」
「え!どこ・・・って」
「涼太が言わなきゃ触んない」
しばらく沈黙した後、涼太が口を開く。
「・・・キス、したい」
「じゃあ、こっち向いて」
俺がそう言うと、涼太が体をクルっと回転させて、俺の首に手をまわして唇を寄せてきて、触れそうなところでピタッと止まる。
「キス、して欲しい?」
ずっきゅん
なんだよ、それ!あざと過ぎだろ!
涼太の恋愛テクがどんどん上がっていってる気がするな・・・。
「ヘタクソなくせに、生意気」
堪えきれなくなって、自分から唇を重ねる。
「あお、好き」
どうした涼太!
ついこの前まで、ありえねえだの言えねぇだの言ってたのに!
「青も、言えよ」
「涼太、キャラ変わってない?」
「今日だけ、特別。青の事、不安にさせたから。オレ、もっとちゃんと気をつける。男寄せねーように」
気をつけてどーにかなるよーな問題じゃないような・・・。
「早く好きだって言って、いつもみたいにしろよ」
「はぁ~。ほんとおまえ、快楽にハマりすぎだろ」
「青がしたんだろ。責任取れよ」
「マジ生意気。覚悟しとけ」
その後、風呂とベッドで涼太が気を失うまで抱き、涼太を抱きしめて眠った。
俺は、知らなかった。
激しく奪う愛より、穏やかで純粋な愛の方が何倍も恐ろしいということを。
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