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第97話 甘い罠 2
「涼太さん、水です。飲んでください」
オレは居酒屋を出て、少し歩いたところで気分が悪くて座り込んでしまった。
「ありがと。ごめんタケル」
近くのコンビニからタケルが買ってきてくれた水を飲む。
うう、最近、仕事に気合い入れすぎてたツケがまわってきたかな・・・。情けな・・・。
「あ・・・!」
タケルがジャケットのポケットから何かを出す。
「そういえば、これさっき姉貴にもらったサプリメントなんですけど、疲れにすごく効くらしくて、飲みますか?」
え?タケル、ねーちゃんいるのか。
なんか、さらに親近感。
「ずっと姉貴に嫌われてると思ってたんですけど、なんか、最近少しずつ打ち解けて来たっていうか・・・」
「そーなんだ・・・よかったな。・・・じゃあ、せっかくだしもらおっかな?」
タケルがオレの手に白い錠剤を一錠のせる。
ホントはサプリとか全然信頼してねーけど、せっかくタケルがすすめてくれたしな。
オレは水でサプリメントを喉の奥に流し込んだ。
「なんか、薬のんだらちょっと復活した気するわ」
立ち上がったオレの腕をタケルが支える。
「そんなに即効性ないですよ。涼太さん、騙されるタイプですね、気をつけてくださいね」
ぐっ、オレって単純だな。なんか恥ずかしーわ。
駅まで歩いて15分。
なんか、酒飲んで歩いたせいか、体が熱い。
「涼太さん大丈夫ですか?汗すごいですけど、熱あります?」
額にタケルが手を伸ばしてくる。
あ・・・タケルの手、気持ちいい。
「そういう顔、反則ですって」
「反則・・・?よくわかんねーけど、タケルの手、冷たくて気持ちいー」
額に触れていたタケルの手が、バッと離れる。
なんで・・・もっと触ってて欲しかったのに。
「外、歩いてたから手が冷えてたんです」
電車が来て乗り込んだが、まだ時間が早かったため席が空いていない。
ドアの近くに寄りかかったオレの前に、タケルが立つ。
なんだろ・・・今頃酒がまわってきたのかな、体が熱くて、足元から崩れてしまいそうだ。
ガタン
電車が揺れて、タケルの体と密着してしまう。
「っすみません」
タケルが咄嗟に謝る。
「はぁ、はぁ、いや。だいじょーぶ・・・」
アレ、なんでオレこんな息上がってんだ・・・?
それに、タケルとくっついてるとこが、なんかモヤモヤするとゆーか・・・
「涼太さん、なんで勃ってるんですか」
周りに聞こえないように、タケルがオレの耳元で囁く。
耳にかかるタケルの息に、体中がゾクゾクする。
・・・勃ってる?
「え・・・」
え・・・なんで・・・
オレ、なんで勃ってんの!?
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