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第99話 甘い罠 4

「さ、触ってほしい・・・」 何言ってんだよ、オレ。 こんなん、青になんて言えば・・・ 青に申し訳ない気持ちと、早く楽になりたい気持ちがグチャグチャに入り交じって、泣きたくなる。 「も・・・やだ、あ、あっ!」 タケルの手にぎゅっと力が入って、もう限界だったオレは、服の上から握られただけでイッてしまった。 「はぁ、はぁ、たけ・・・る、ごめん」 「・・・いえ。俺が変なもの飲ませてしまったんで。ホントにすみません」 う・・・。パンツの中、グチョグチョで気持ち悪・・・。 「涼太さん、恋人に電話してもらえませんか?俺から説明させてください」 ええ!? 「お願いします」 タケルの思い詰めたような声に、断ることができなくて、青に電話をかける。 プルルルル プルルルル 『ハイ。どした?もう飲み会終わったのか?』 「あ・・・の」 青の声に胸が詰まる。 「代わってください、涼太さん」 オレがスマホを渡すと、タケルは部屋から出ていってしまう。 どうしよう。こんな事になって。青、絶対に怒る・・・。 オレ、ほんとバカだ・・・。タケルに悪気は無かったのかもしれないけど、もっと警戒するべきだったのに。 暫くして、タケルが部屋に戻ってきた。 「青さん、迎えに来るそうです」 「え・・・」 やばいやばいやばい!修羅場になってしまう! オレ、殺されるかもしんない・・・。 10分ほどして、青からの電話が鳴る。 「涼太さん、もう歩けますか?服の中、気持ち悪いかもしれないですけど、俺の服着るよりマシだと思うんで、我慢してくださいね」 立ち上がると、さっきよりは、だいぶマシになっていたが、体の疼きはまだ残っている事に気付く。 コートを腰に巻き、玄関を出ると、タクシーを待たせた青がそこにいた。 「青、ごめん」 「帰るぞ、涼太」 青に手を引かれてタクシーに乗る。 「お二人にご迷惑かけて、すみませんでした」 タケルが深くお辞儀した。 「・・・もういい。連絡してくれてありがとな」 青がタケルに言って、タクシーが走り出す。 「涼太、体だいじょうぶか?」 疼きがおさまらなくて体を丸めるオレを、心配そうに青が覗き込む。 なんで怒んねーんだよ。オレ、自分からタケルに触ってほしいって言っちゃったのに。 青を裏切ったのに。 「青、ごめん。マジで・・・ごめん」 「話はアイツから聞いたから。涼太は悪くねぇだろ」 青に手をぎゅっと握られて、その手の感触に、また体が熱くなって、息が上がってくる。 「帰ったら、ちゃんと楽にしてやるから、もう少し我慢しろ」 その夜の青は、何だかいつもより優しくて、オレは青に甘えきっていた。 青が離れていくなんて、その時のオレは想像すらしていなかった。

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