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第101話 手に入れるためなら 2

え・・・、今、なんて・・・ 「もう、一緒にはいられない」 別れ・・・る? ・・・一緒に、いられない? なんで? オレが、タケルとあんな事になったから? 青に理由を聞きたいのに、言葉が口から出てこない。 ソファから立ち上がり、ジャケットを羽織って、青は部屋を出ていく。 ・・・なんで、何にも言えねぇんだ、オレ。 引き止める事だってできたかもしれないのに。 なんで動かないんだよ、オレの体・・・ ああ、そっか・・・ これが失恋ってやつか・・・ 初めて知った。 苦しくて、何も言葉が出てこない。 何もできない。 青の最後の言葉を、頭の中で繰り返すだけ。 胸が痛くて、苦しくて、どうしていいかわからない。 ただ、青が今ここに居ないという現実が目の前にあるだけだった。 青に別れを告げられてから一週間。 昇進試験があったのと仕事が忙しいおかげで、青がもうそばにいないという現実から目を背けることができた。 「涼太、おめでとう!受かってるよ。ほぼ満点じゃねーか。スピード出世だよ、やっぱ俺が見込んで育てただけの事はあるな!ワハハ」 店長が、オレの昇進試験の結果をパソコンで確認して、ガシッと肩を組んでくる。 「ありがとうございます。これでようやく、あさみさんにランク追いつきました」 学校の勉強も、これくらいできてりゃ、もうちょいマシだったのかな、オレ。 「小林くん、おめでとう。私の指導が良かったのね、きっと!」 「二人とも、純粋にオレを褒めてくれる気はないんですか」 オレの頑張りを自分たちの手柄にすんなよな~! 「じゃあ、今日は店長の奢りでお祝いしましょ。私、お肉食べたい!焼肉連れてってください」 「しゃーねーな、ま、あさみのおかげでもあるからな!」 「加藤くんも誘ってあげなきゃ!小林くんが試験に集中できたのも、彼が仕事フォローしてくれたおかげだもの」 「よーし、じゃあ、タケルも誘っとけあさみ!」 タケル・・・あれから気まずいんだよな~。相変わらずのぞむを回避して一緒には帰ってるけど。 「あさみさんと店長、置いてきて大丈夫でしたかね?ふたりとも、結構飲んでましたけど」 店長達が盛り上がりすぎて、ついて行けなくなったオレ達は、二人を置いて店を出てきた。 「あー、いつもの事だからだいじょぶだよ」 あの二人に付き合ってたら、終電間に合わなくなっちゃうからな。 「・・・青さん、あれからどうしてますか?電話で話した時は、冷静そうでしたけど」 タケルに青の事を聞かれてドキッとする。 「あー、うん。・・・オレたち別れたみたい」 「え!?」 別れた・・・んだよな?あれから、青は帰ってきてねーし。 「俺のせいですね。本当にすみません」 タケルが頭を下げる。 「違うよ!オレが、いつもフラフラしてっから、青から信用されなくなっちゃって、それで・・・」 そう。オレが、悪い。 あんなに想ってくれてた青を、何度も傷付けてた。嫌われて当然の事をした。 何を思っても、後悔しても、きっともう遅い。

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