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第104話 ここにいる 1

「俺がいないのに、なんで俺のベッドにいんの?」 青・・・だ。 なんでここにいるか、なんてオレの方が聞きたいのに。 「オレ、青に別れようって言われて・・・」 「うん。言った」 「青が出てって」 「そうだな」 「なのに、戻ってきて」 「ただいま、涼太」 「おかえり・・・って、なんで・・・」 目の前にいる青が、出て行く前の青とは違いすぎて、頭が混乱する。 「待って。オレたち別れたって事でいいんだよな?」 「良くねーよ。俺が涼太を手放すと思うか?」 思うか?って、だって、別れるって言ったのは青だろ・・・。 「一生、涼太だけだって、逃がさねぇって言ったろ?」 「は?・・・じゃあ、なんで別れるなんて・・・」 「あー、アレはお仕置きだよ。お前がガード緩すぎだから、ムカついて」 じゃあ、オレ、青と別れて・・・ない? 青の笑顔に安心して、オレは全身の力が一気に抜ける。 「涼太?俺が別れるって言ったの、泣くほど悲しかったのか?」 あれ・・・ほんとだ。なんで涙なんか出てんの、オレ。 「ごめんな、涼太。ここにいてくれてありがとう」 毛布の上から青にぎゅうっと抱きしめられて、涙が勝手に溢れてくる。 「青・・・あお・・・」 青に言いたいことがたくさんあるはずなのに、名前を呼ぶだけで精一杯になる。 悲しくて言葉が出なかったけど、嬉しくて何にも言えなくなる事も初めて知った。 例えば、青以外の誰かを好きになっていたとしたら、自分がこんな感情になるなんて、知ることが出来たのだろうか・・・。 「涼太、覚えといて。もしまたいつか離れる事があっても、俺は絶対に涼太を手放したりしない」 「・・・」 「俺は、涼太が側にいてくれるなら、どんな事だってする。だから、俺を捨てんなよ」 ・・・なんだよ、それ。 捨てられそうになってたの、オレの方じゃん。 マジわけわかんねぇ。でも・・・ 「オレ、バカだから、青の事傷付けてばっかで、ごめん。戻ってきてくれてありがと。大好きだよ」 向き合って青の背中に手を回してぎゅっと抱きしめ返す。 あ・・・青のにおい。体温、髪、少しだけ触れ合っている肌、オレにかかる体の重み・・・ 青がまた、ここにいる。 このままずっと、こうしていたい。 「涼太、俺、もう限界なんだけど」 オレを抱きしめる青の腕が離れる。 え!?なんで・・・仲直りしたんじゃねぇの!? 「なあ、もうキスしていい?」 青が、指でオレの涙を拭って、唇に沿うように滑らせてくる。 その仕草がすごくいやらしく見えて、オレは体の奥が熱くなって、何だか恥ずかしくなってしまう。 「ダメって言ったらしねぇ・・・んっ」 オレが照れ隠しで言った言葉を、青が唇で塞ぐ。 「ダメって言わせねぇ。俺がこの二週間、どんなに涼太を抱きたかったか、わかんねえだろ」 青の目付きが鋭くなって、飢えた獣みたいになっている。 「オレ、だって・・・」 「何?聞こえねぇ」 う・・・。またわざと聞こえねーフリしてるな。 こうなったら・・・ 「オレだって!青とエッチなことしてえっつってんの!」

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