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第107話 ボーイズラブ 1
ああ~~~。暇だな。
正月だっつーのに、涼太は仕事だし、年末年始はバイトも休みだし、優也は彼女と旅行だし、カズはバカだしな~。
実家にでも行って、雑煮でも食ってくるか・・・。
正月の暇を持て余した俺は、実家に行くことにした。
「ただいま。母さん、雑煮ある?」
「何がただいま、よ!この前、急に帰ってきたと思ったら、しばらく居てまたいきなりいなくなってんだもん。何やってんのよ、あんた」
「別に。あん時は涼太とケンカしてたんだよ。んで仲直りしたの」
「いい歳して、何ケンカしてんの!涼太くんに迷惑かけてんじゃないでしょうね?」
「かけてねぇよ。うっせぇな、早く餅食わせろよ」
「もー、ほんとに可愛くない息子なんだから!涼太くんみたいなカワイイ息子だったらよかったのに・・・」
涼太が息子になる可能性は極めて高いぞ、母よ。
まあ、同性の結婚は認められてねーけど。
「あれ、青、帰って来たのか?」
「兄貴、久しぶりじゃん」
「あおー!」
「ひなー!元気だったか?」
リビングに入ると、里帰り中の四つ上の兄貴と二歳の姪っ子、ひなが出迎えてくれる。
ひなを抱っこして、ダイニングの椅子に座ると、義姉がテーブルに雑煮を運んできてくれる。
「青くん、久しぶりね。すっかり大学生って感じになっちゃったね」
「義姉さんこそ、すっかりママって感じだね」
「あおー。おじょーにたべて」
「ありがとなー。かわいいなー。ひなは」
ああ~。子供ってなんでこんなかわいいんだろ。
涼太の子供なら、もっと可愛いんだろーな~。まあ、産めねーけど・・・
「そーいや、おまえ、涼太と一緒に住んでるんだって?」
「あー、うん」
「おまえ、涼太の事やらしー目で見てたもんな、高校の時」
「ぶっ!」
兄貴に言われて、食べていた雑煮を盛大に噴き出してしまう。
「あお、きちゃなーい」
ひなが俺の膝からおりて、リビングの方へ行ってしまう。
「なななに、何言ってんだよ、兄貴!」
兄貴がテーブルを挟んで向かいに座る。
「俺、聞いた事あんだよな~。おまえが涼太涼太言いながら、一人でやってるの。壁薄いからな」
う、嘘だろ・・・。涼太をオカズにオナってたとこ、兄貴に聞かれてた?
やっべぇ~~~!
「ボーイズラブってやつね」
義姉さんまで、何言って・・・
「か、母さん達には・・・」
「言うわけないだろ。母さん達が知ったら、卒倒するだろ。息子が男、好きなんて」
だよな。
「でも、俺、決して男が好きなわけじゃ・・・」
「分かってるよ。カテキョの女と付き合ってたもんな」
そんな事まで知ってんのか。まあ、兄貴、隣の部屋だもんな。筒抜けだよな。
「おまえさ、涼太とどうなりたいわけ?」
「そりゃ、ずっと一緒に・・・いたいと・・・」
「おまえはそれでいいかもしんないけど、涼太は?涼太の親は説得できるのか?」
は?説得?
「ずっと一緒にいたいなら、当然だろ。お前と一緒にいるなら、涼太は一生独身だな。自分の子供も持てない可能性だってある」
それは・・・そうだけど。
「おまえのワガママで、涼太の将来、潰すことだけはすんなよ」
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