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第109話 ボーイズラブ 3

「てめーは、いつも攻めに攻めまくって、オレも周りも黙らして来たんだろーが」 ・・・確かに、涼太の言う通りだ。 「今更、オレのためだとか言ってしょぼくれてどーすんだよ」 ソファに座った俺は、涼太に胸ぐらを掴まれて、グッと引き寄せられる。 「オレは、おまえの親にも自分の親にも、堂々と青が好きだって言えるようになりてぇんだよ。青がそんなんじゃ一生言えねーだろ。しっかりしろ」 涼太・・・なんて男らしい・・・! 惚れ直しちゃうだろ~~~~~!! 「わかったら、とっととただいまのキスしろ!クソへなちょこ野郎!」 ・・・マジで、俺を調子にのらせんの上手すぎだよ、涼太。 涼太の頭を引き寄せて、噛み付くように深いキスをすると、涼太の吐息が漏れ始める。 唇を離して涼太を見つめると、さっきまでの威勢の良さは微塵もなく、顔を赤らめて困ったように瞳を潤ませていた。 「へなちょこのキスで、メロメロになってんの、誰だよ」 「うるせぇ!ただいまのキスなのに、エロいやつすんな!」 男らしいんだか、可愛いんだか、可愛くねーんだか・・・ 「涼太、おまえ、ほんとにもう女抱くなんてできなくなんだぞ、後悔しねぇな?」 「ぐ・・・それは・・・」 さっそく後悔してんじゃねーか。 「俺のために一生童貞でいろよ。その代わりに、女とじゃできねえ事、死ぬほどやってやっから」 涼太のTシャツを捲り上げて、胸の先を強く吸う。 「っ・・・いっ」 すぐにピンと立つそれに舌を這わせて、もう片方を指で優しく捏ねると、震える涼太の手が俺の髪をぎゅっと掴んだ。 涼太を背中向きに膝の上に座らせ、項に唇を押し当てる。 ビクッと肩を上げる涼太。 「あの・・・オレ、明日も仕事なんですけど・・・」 「こんなに煽っといて、待て、はねぇよな?」 「待て、してもらっていいですか?」 はあ!?ふざけんな! 涼太の背骨のラインを舌でなぞるように、下から舐め上げる。 「っ、やめ、ろって!」 涼太が、捲りあげたTシャツの裾を引き下ろそうとする。 俺は、その両腕を涼太の後ろに片手で纏め、もう片方の手で涼太の項を掴んで上体をグッと抑えつけた。 「攻めに攻めまくって、黙らせればいいんだったよな?」 「それはっ、こーゆー事じゃ・・・」 「涼太、無理矢理突っ込まれるのと、グズグズになってから突っ込まれるの、どっちがいい?」 「は?それ、どっちも選びたくねぇんだけど」 「じゃあ、無理矢理突っ込む方向・・・」 「グズグズの方向で!」 「じゃあ、ベッド行こっか」 「~~~!マジ詐欺もいいとこだろ!さっきまでのしおらしさどこ行ったんだよ」 「涼太が俺に火付けたんだろ。責任取れよな」 「一回だけだからな!絶対に!」 「ハイハイ」 プンプンしながら、俺の部屋に入る涼太。 もしかしたら、俺が攻めているようでも、実際は涼太に受け入れてもらっているだけなのかもしれない。 いつだって、俺をコントロールしているのは涼太なのかも・・・。 「何ノロノロやってんだよ!早く来いよ!早く寝てーんだから!」 あんなに怒ってても、ちゃんと相手してくれようとしてんだもんな。マジ天使かよ。 涼太といると、悩んでたのがバカらしくなってくるな。 ・・・ボーイズラブ、上等じゃねぇか!

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