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第111話 BL上等 2
青の笑顔で、青の言葉でときめいてどーする!
確かにカッコイイよ!カッコイイけれども・・・
「世界中の人達、青のもんにキョーミねえって」
このスーパーの客はキョーミあるっぽいけどな・・・。
つーか、誰も見てねぇっつったの誰だよ。
見せる気満々じゃん。
「おまえ、まさかと思うけど、人前で手繋ぎたい為だけに買い物来たんじゃねぇよな?」
「・・・」
何も言わずにコーヒー豆を物色する青。
「はあ~。ほんとバカだな、おまえ」
頭良いくせに、しょーもねー事ばっか考えてんだな、こいつ。
「バカとはなんだ。今まで涼太が俺に心配かけてきた事に比べれば、かわいいもんだろーが」
ぐ・・・それを言われると、何も言えねぇじゃん。
「別に、手とか繋がなくてもオレ、ちゃんと青の事好きだし。こんな、試すような事しなくても・・・」
突然、青が繋いでいたオレの手をグイッと引っ張って、何も買わずに店を出る。
「ちょ、買い物は?」
「昨日したからいらねぇ」
「は?何しに来たんだよ!」
オレの手を引っ張って、前を歩いていた青が急に振り返って、二人の距離が近付いた。
「涼太の言う通り、試してんだよ」
青が顔をグッと近付けてくる。
「俺の事好きなら、ここでキスしろよ」
え!?
え・・・だってまだ時間も早いし、人通りだってあるのに・・・。
「涼太の好きってそんなもん?」
「あ?」
「人に見られて困る様な関係だもんな、涼太にとっては」
「そーゆー問題じゃねぇだろ」
「そういう問題だよ。俺にとっては」
「・・・」
「涼太からしないなら、俺からする。嫌なら全力で拒否しろ」
青の顔が更に近付いて、鼻先が触れそうな距離まで詰め寄られる。
なんでこんな、いつも強引なんだよ。
なんでオレはこんな恥ずかしい思いさせられてんのに、拒めねーんだよ。
青との距離がゼロになって、唇が重なる。
ああー・・・道行く人の視線が痛い。
すげぇ恥ずかしい。
でも、なんでこんなドキドキして、青の事しか考えられなくなってくんだよ・・・。
周りからの、中傷も冷やかしも軽蔑も、もうどうでもよくなってくる。
カシャ
え・・・
近くでシャッター音が聞こえて、音のした方を見る。
「やん♡バレちゃった~」
「あ、あ、あ、あさみ、さん」
なぜここに!
「公開BL、見届けさせてもらっちゃった、えへっ」
「あさみさん、例の物は?」
青があさみさんに聞く。
「ちゃんと持ってきたわよ~!ハイ、どうぞ」
あさみさんが青に紙袋を渡す。
「オイ、説明しろ」
「いつものミッションだよ。涼太にふつーに言ってもやんないだろ」
え、じゃあオレ、ハメられたって事?
「はあ~♡よかった、今日もよかった!最高だったわ・・・。ありがとね、小林くん!もはやBLは正義ね!おつかれさま!」
恍惚な表情で帰って行くあさみさん。
「じゃ、俺達も帰るか」
オレの手を引いて、青が歩き出そうとする。
が、オレは繋がれた手を青の背中で捻り上げる。
「痛い痛い痛い痛い!」
関節をキメられて痛がる青。
「オイ、てめーふざけんなよ、無駄に恥かかせやがって」
青を突き放して、後ろから蹴りを入れる。
まさか、あさみさんと結託してやってたとは・・・
オレの恥と、無駄なドキドキを返せ!
「何すんだよ、嫌なら拒否れって言っただろ。結局拒否んないし、うっとりしてたじゃん」
「言うな!」
もー!なんなんだよ!男同士ってこんななのか?
もっと普通に恋愛してーよ!
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