110 / 210

第111話 BL上等 2

青の笑顔で、青の言葉でときめいてどーする! 確かにカッコイイよ!カッコイイけれども・・・ 「世界中の人達、青のもんにキョーミねえって」 このスーパーの客はキョーミあるっぽいけどな・・・。 つーか、誰も見てねぇっつったの誰だよ。 見せる気満々じゃん。 「おまえ、まさかと思うけど、人前で手繋ぎたい為だけに買い物来たんじゃねぇよな?」 「・・・」 何も言わずにコーヒー豆を物色する青。 「はあ~。ほんとバカだな、おまえ」 頭良いくせに、しょーもねー事ばっか考えてんだな、こいつ。 「バカとはなんだ。今まで涼太が俺に心配かけてきた事に比べれば、かわいいもんだろーが」 ぐ・・・それを言われると、何も言えねぇじゃん。 「別に、手とか繋がなくてもオレ、ちゃんと青の事好きだし。こんな、試すような事しなくても・・・」 突然、青が繋いでいたオレの手をグイッと引っ張って、何も買わずに店を出る。 「ちょ、買い物は?」 「昨日したからいらねぇ」 「は?何しに来たんだよ!」 オレの手を引っ張って、前を歩いていた青が急に振り返って、二人の距離が近付いた。 「涼太の言う通り、試してんだよ」 青が顔をグッと近付けてくる。 「俺の事好きなら、ここでキスしろよ」 え!? え・・・だってまだ時間も早いし、人通りだってあるのに・・・。 「涼太の好きってそんなもん?」 「あ?」 「人に見られて困る様な関係だもんな、涼太にとっては」 「そーゆー問題じゃねぇだろ」 「そういう問題だよ。俺にとっては」 「・・・」 「涼太からしないなら、俺からする。嫌なら全力で拒否しろ」 青の顔が更に近付いて、鼻先が触れそうな距離まで詰め寄られる。 なんでこんな、いつも強引なんだよ。 なんでオレはこんな恥ずかしい思いさせられてんのに、拒めねーんだよ。 青との距離がゼロになって、唇が重なる。 ああー・・・道行く人の視線が痛い。 すげぇ恥ずかしい。 でも、なんでこんなドキドキして、青の事しか考えられなくなってくんだよ・・・。 周りからの、中傷も冷やかしも軽蔑も、もうどうでもよくなってくる。 カシャ え・・・ 近くでシャッター音が聞こえて、音のした方を見る。 「やん♡バレちゃった~」 「あ、あ、あ、あさみ、さん」 なぜここに! 「公開BL、見届けさせてもらっちゃった、えへっ」 「あさみさん、例の物は?」 青があさみさんに聞く。 「ちゃんと持ってきたわよ~!ハイ、どうぞ」 あさみさんが青に紙袋を渡す。 「オイ、説明しろ」 「いつものミッションだよ。涼太にふつーに言ってもやんないだろ」 え、じゃあオレ、ハメられたって事? 「はあ~♡よかった、今日もよかった!最高だったわ・・・。ありがとね、小林くん!もはやBLは正義ね!おつかれさま!」 恍惚な表情で帰って行くあさみさん。 「じゃ、俺達も帰るか」 オレの手を引いて、青が歩き出そうとする。 が、オレは繋がれた手を青の背中で捻り上げる。 「痛い痛い痛い痛い!」 関節をキメられて痛がる青。 「オイ、てめーふざけんなよ、無駄に恥かかせやがって」 青を突き放して、後ろから蹴りを入れる。 まさか、あさみさんと結託してやってたとは・・・ オレの恥と、無駄なドキドキを返せ! 「何すんだよ、嫌なら拒否れって言っただろ。結局拒否んないし、うっとりしてたじゃん」 「言うな!」 もー!なんなんだよ!男同士ってこんななのか? もっと普通に恋愛してーよ!

ともだちにシェアしよう!