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第112話 脱DT? 1
公休日まであと1日・・・
世間は正月休みでお客さんも多いし、さすがに疲れてきたな。
でも今日を乗り越えたら明日休みだし!
まだ開店前の店の裏口の鍵を開けて中に入る。
「おはよー、小林くん」
間もなくしてあさみさんが出社して来た。
「おはようございます」
「ねね、どーだった?」
どう・・・って?
「何がですか?」
「まだDTのままか・・・」
あさみさんがボソッと呟くがよく聞こえない。
「え?なんて?」
「んーん、なんでもない」
あさみさんが意味ありげにニコっと笑顔をオレに向ける。
なんか企んでる・・・。嫌な予感しかしねぇ。
「そういえば、この前、青に何渡してたんですか?」
「あー、あれは・・・」
「おはようございまーす」
バイトのスタッフ達が出社してきて、あさみさんの話が途切れた。
「まあ、すぐにわかるわよ、小林くん、頑張ってね!」
なんの応援なんだよ。
あの紙袋の中身が、オレにとって喜ばしい物じゃ無いことは確かだな・・・。
嫌な予感を膨らませつつ、1日の仕事を終え、タケルと一緒に店を出る。
「涼太さん、冬季の休みいつから取るんですか?」
「店長とあさみさんが1月中に取るって言ってたし、2月入ってからかな。タケルは?」
「俺も2月です」
夏季と冬季に、正社員がまとめて1週間ずつ取れる特休。まだ先だな~。
早く来ねぇかな、2月。
タケルと他愛もない話をしながら、ふと、オレは自分達以外のBLというものが気になりだした。
「・・・あのさ、タケルって男しか好きになんねーの?」
「いきなりですね。・・・まあ、そうです。女には興味ないです」
「男同士で付き合った事、ある?」
「ありますよ」
あるんだ!つーか答えてくれるんだ・・・タケルいい奴!
「高校の時、20歳の男と付き合ってました」
タケル、大人・・・!
学生時代なんて、エロ本見てケンカしてカズ達と遊んでばっかだったぞ、オレは。
「それは・・・その・・・やらしい事込みの・・・」
「はい。もちろん。セックスしてました」
なんてストレートな・・・!躊躇って聞いたオレが恥ずかしーわ。
「そーなんだ。じゃあさ・・・人前で手繋いだりとかしてた?」
「向こうは社会人だったんで、人の目気にしてましたけど、俺からいつも無理矢理繋いでましたね。でも嫌がってはなかったですよ」
そーなんだ。繋ぎたいので普通なんだ・・・。
「あの、因みになんだけど、タケルは、えと、つ、突っ込む方・・・」
「はい。突っ込む方です。涼太さんは突っ込まれてる方ですよね?」
「・・・う、うん」
知ってるくせに聞くな~!
・・・やっぱこいつ、青に似てるわ。
「男に挿入たいって思いますか?」
え?男にいれたいか・・・?
例えば青のケツに・・・・・・・・・・・・・・・
「イヤ、ムリだわ」
「涼太さんはどう見てもネコですもんね」
「ねこ?」
「掘られる側って事ですよ」
見た目で判断すんなよ。オレだって相手が女なら・・・
女か~・・・
やっぱオレ、一生童貞なのかな~・・・
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