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第114話 渋滞中 1
「ハッンバーグ!ハッンバーグ!うんま~!」
昨日、また涼太を抱き潰してしまった俺は、いつもの店で、ハンバーグを奢らされているのだった。
俺にどんなことをされても、ハンバーグひとつで許してくれる涼太。
可愛いな・・・。可愛いけど、涼太の頭ん中が心配だな。
こいつ、ハンバーグ食わしてやれば、俺じゃなくても大抵の事なら許しそうだな。
事実、宮野に拘束プレイされても、タケルに催淫剤飲まされても、ふつーに付き合いしてるしな。
「ごちそーさま!青、支払いは任せたぞ!」
ハンバーグを食べ終えて席を立ち、外のベンチに座る涼太。
支払いを済ませて俺も外に出ると、涼太の隣にタケルが・・・!この一瞬でなぜ現れる!
そういえば、タケルん家ここからそんなに遠くはなかったもんな。
「青さん、どうも・・・。その節は、涼太さんを危険な目にあわせてしまって、すみませんでした」
タケルはベンチから立ち上がり、俺に向かって深く頭を下げる。
「もーいーって、タケル!危ない目にあってんの、オレだから。青に謝んなくていーんだって!」
オイ。俺が迎えに行ったんだぞ。
でも、タケルも加藤の被害者だもんな・・・。
涼太のイキ顔見たのは許せねえけどな。
「タケルもハンバーグ食いに来たのか?」
「いえ。俺はそこの本屋に用事があって、たまたま涼太さん見かけたんです。で、うれしくて声掛けちゃいました」
「嬉しくてって、明日店で会えるだろー」
「休日に会えるってのがいいんですよ」
何コレ。恋人の前で堂々とイチャつくんじゃねーよ、こいつら!
「涼太、もう行く・・・」
「あー!涼ちゃんと山田・・・・・・とタケルくん・・・」
げ!宮野まで!
今日は厄日だな。涼太が(オナホで)童貞卒業したからか?
「・・・じゃあ俺、失礼します」
帰ろうとするタケルの腕を宮野が掴む。
「タケルくん、俺の事、避けてるよね」
なんか、気まずい雰囲気・・・
「じゃあ、俺達帰るわ」
涼太の手を取り帰ろうとしたが、反対側の腕をタケルに掴まれる涼太。
「涼太さん!この人とふたりにしないでくださいよ」
歩道で、宮野、タケル、涼太、俺が数珠繋ぎになっている。
男4人で何やってんだ!
「えーと、どーしたらいい?」
涼太が俺に聞いてくる。
知るかよ!
はあ・・・。
「とりあえず、場所変えよーぜ・・・」
とは言ってみたものの、男4人でなんだか面倒臭い話になりそーな予感・・・。どこ行こ・・・
「ウチ、来る?」
「は!?」
ちょちょちょ、涼太待てって!
俺達の愛の巣に、こんな輩どもを・・・
「人に聞かれたくねぇ話かもしんないし、このままここにいる訳にもいかねーじゃん」
心広すぎだろ、涼太・・・。寛大なんだか、バカなのか・・・
はあ~・・・
しょうがねー・・・
「とりあえず、宮野とタケルは、手離せ」
タケルの腕を掴んでいた宮野の手が離れ、涼太の腕を掴んでいたタケルの手が外れる。
「じゃあ、行くぞ」
「青」
「なに?涼太」
「おまえも手離せよ」
ちっ、バレたか。しれっと涼太と手繋げると思ったのに。
背中に、宮野とタケルの気まずい空気を感じながら、俺達はアパートへと向かった。
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