114 / 210

第115話 渋滞中 2

涼太、俺、宮野、タケルの4人で、テーブルを囲んではいるが、誰も話し出す雰囲気じゃない。 ・・・気まずい・・・非常に。 「あ、なんか飲む?青、コーヒーだよな?みんなもそれでいい?」 涼太が気まずい空気を読んでか読まずか、キッチンで飲み物を用意し始める。 テーブルに、コーヒーが3つと、涼太がいつも飲んでいる炭酸水が置かれる。 「山田のだけ、ミルク入ってんじゃん」 宮野が俺のカップを見てぼそっと呟く。 「あ、ごめん。青、いつもミルク入りだから。のぞむも入れる?」 涼太、いい嫁ぶり、もっと発揮しろ! 「んーん。なんか、そーゆーのいいなって思っただけ。ラブラブだなーって」 「ですね」 宮野の言葉に、頷くタケル。 「のぞむ、タケルになんか話あったから引き止めたんじゃねーの?」 涼太に言われ、宮野がタケルをじっと見つめる。 オイ、キモイな、宮野。 「なんですか?避けてたことなら、否定しませんよ。俺は、あんたに涼太さんとの時間、邪魔されたくないんで」 俺の前でよく言えるな、タケル・・・。 「青さんから奪おうなんて、思ってません。でも、青さんの次に、涼太さんの近くにいる存在でありたいんです」 加藤姉弟、二人揃って執着心がハンパねえな。 「タケルは大事な後輩だし、仕事でも頼りにしてっし、青より一緒にいる時間長いんだぜ?むしろ、今いちばん近い存在だよ」 な!?なんて!?涼太、なんてことを・・・ 「そういう意味じゃないんですよ・・・」 そうそう!そういう意味じゃねんだよ・・・落ち着け、俺。涼太の天然に振り回されてどうする。 「俺、タケルくんが好きだ」 宮野の突然の告白に、俺と涼太は、すかさずタケルの顔を見る。 しらっとコーヒーを飲んで、相手にもしていない様子。 「た、たける、聞いてやったら・・・?」 「涼太さん、聞いてますよ。この人、そういう冗談言って、俺を涼太さんから遠ざけようとしてるだけですから」 「冗談で言えるわけないだろ!俺は本気なの!」 宮野・・・キモイな。本気とか。 「あんた、どー見てもタチって感じじゃないですか。俺とじゃ合いませんよ。だいたい俺は、涼太さんがいいんです」 「合う!合わせる!俺だって、ヤルなら涼ちゃんがいい!でもヤラれるならタケルくんがいい!」 こいつら、涼太涼太って・・・ 誰のもんかわかってねぇな・・・ 「おまえら、見とけ」 「わっ、青、な・・・っ」 ソファに座っていた涼太を引き摺り下ろし、膝の上に乗せ、斜め下から見上げるようにキスする。 「あおっ、ちょ、ふたり、見て・・・」 「見せてんだ。黙っとけ」 「でもっ」 口付けが深くなるにつれ、涼太の抵抗が弱くなり、紅潮していく顔が、蕩けていく。 「涼太、自分から舌、出して」 涼太は一瞬ためらって、遠慮がちに舌を出す。 俺は、涼太の舌に自分の舌を絡めて、俺達を見る宮野とタケルを横目で見返す。 「この通り、涼太は俺のものって調教済みだから。おまえらのものになることは絶対にねーから、涼太抜きでの話してくんねーかな」 タケルが下を向き、グッと拳を握りしめる。 「もっと先も見てーなら、見せてやってもいいけど?」 俺がそう言うとタケルが立ち上がる。 「のぞむさん、帰りましょう」 「え?・・・あ、うん」

ともだちにシェアしよう!