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第122話 青の貞操 2
ファミレスに入り、オレの隣に青が座り、向かいに瀬戸が座る。
「なんでファミレス?オレ肉食いたかったのに」
青が、ここでいいって言うから入ったけど、肉食いたかったな~・・・
「他のヤツ誘わなかったら、肉でもなんでも食えたのにな」
青が不貞腐れながら言う。
「しつけぇ。さーて、ハンバーグ食お」
誘ってみたものの、いつもはウザいくらい絡んでくる瀬戸が、別人みたいに大人しい。
「青と瀬戸 、予備校で話した事あんの?」
「たぶん無い」
「あるし!・・・1回だけど・・・」
無い、と言う青に対してあると言い張る瀬戸。
「ま、いいじゃん、どっちでも。お互い知ってたわけだし。瀬戸、青の事気にしてたじゃん」
「涼太!よけーな事言うなよ!」
なんだよ。せっかく話すきっかけつくってやろーと思ったのに。
「瀬戸は、高校の時から涼太と知り合い?」
青が瀬戸に聞く。
「あー。よくケンカしてたかな。涼太目立つし、なんか鼻についたっていうか・・・」
「瀬戸、気付いたら絡んでくるようになってたよな。ケンカ弱いくせに」
「・・・へぇ」
高校時代の話をしていて、ふと太腿に何か当たる感触がする。
テーブルの下をチラッと覗くと、隣に座る青の手がオレの太股にかかっていた。
え・・・、なに?
無言で青を見るが、なんでも無いような顔で瀬戸と話している。
すーっと青の手が内腿を滑って、指が敏感な所に当たる。
もう一度青の顔を見るけれど、オレの視線を完全に無視される。
なんなんだよ!も~!
青が何をしたいかわからず困惑するオレを弄ぶかの様に、ゆっくり擽るように指を動かす青。
う・・・。そんな風に触られたら、反応しちゃうだろ・・・。
「・・・だよな?涼太」
「あ?え?」
急に瀬戸に話を振られるが、それどころじゃなくて咄嗟に答える事ができない。
「オイ、聞いてなかったのかよ」
「・・・え?あー、ごめん・・・」
瀬戸と話す間にも、ズボンの上から青の指にまさぐられて、冷静でいたいのに体が言う事を聞いてくれない。
どうしよう・・・。いくらテーブルで隠れて見えないからってこんな場所で、寄りによって瀬戸の前で勃っちゃうなんて・・・最悪だ。
青の手を止めようとして手首を掴むと、すでに勃ってしまったモノをぎゅっと握られて、声が出そうになる。
「っ!」
「涼太、しんどそうだぞ?どうした?」
やば。瀬戸に変に思われてる・・・。
「な・・・んでも、ない」
ズボンの上から上下に擦られて、息が上がってきてしまう。
「なんでもなくねぇだろ涼太。つらそうだな。瀬戸、悪いけど水持ってきてくんねぇ?」
「え?ああ」
瀬戸が席を離れたのを見て、オレは青を睨む。
「涼太 、こんなとこで勃たせるなんて、ほんと淫乱だな」
「誰のせいでこーなってんだよ!もうやめろ!」
「こっちはやめて欲しくなさそーだけどな」
「あ!瀬戸戻ってくるって!マジ頼むって!」
「ふーん。じゃあやめるわ」
すっと青の手が離れる。
よかった・・・。あのままだったらパンツ汚すとこだった。
「おまえ大丈夫かよ」
瀬戸に心配されるとは、情けねー。
「わりーな。もう大丈夫」
持ってきてくれた水を受け取り、一口飲む。
が、手元が覚束無くて、口の端から水が零れてしまった。
「あー、もう何やってんだよ」
瀬戸がおしぼりを差し出してきて、受け取ろうとしたその時・・・
青は、オレの口元から顎に伝う水を指で拭って、唇に触れてじっと見つめてくる。
「ほんと手がかかるな、涼太は」
青のその行動に、オレも瀬戸も時間が止まった様に固まる。
「あ、俺、用事思い出したわ。先帰るな!じゃあな!」
顔を真っ赤にした瀬戸が、突然バッと席を立ってファミレスを出ていく。
ああ~・・・。アレ絶対ショック受けてるわ・・・。
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