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第126話 青と瀬戸 3

「涼太、まだキスすんの?」 酒が入っていつもより大胆になっている涼太は、俺の膝の上で、何度も何度も深いキスを求めてくる。 「ん、青とキスすんの、好き」 おいおいおいおい!なんだよ、その素直さは!気持ちよさそうな顔しちゃって! 最近の涼太は、以前の様な無表情で無愛想な感じはなく、コロコロ表情が変わる気がする。 俺と付き合ってからだと思うのは、気の所為ではないと信じたい。 「青、も・・・、触って」 涼太にぎゅっと腕を掴まれて、俺の中の暴虐な部分が顔を覗かせる。 「触ったら、涼太すぐイッちゃうだろ?」 「・・・イキたいから、もう、ここ痛い」 自分の股間に手を当てて、涼太が涙目で訴えてくる。 「ダメ。今イッたらソファ汚れるだろ。ちょっと待って」 俺はコンドームを持ってきて、我慢しきれず涎を垂らしている涼太のそれに被せる。 「後ろ、弄っていい?」 前には触らずに、後ろの穴をそっと指で擦ると、涼太の体が一瞬ビクッと反応する。 「いいから、早く、もう・・・」 ガタン! 突然テーブルに何かが当たる音がして、ふたりで音の方に目を向ける。 「あ・・・」 床に寝転がっている瀬戸と目が合う。 目を見開き、無言で俺達を見る瀬戸。 やべ・・・。すっかり瀬戸の事忘れてた。 「せ、瀬戸、なんでいんの・・・見て・・・た?」 涼太が顔を青くして、瀬戸に問う。 「目、覚めたら、なんかやってっし、声かけづれぇな、と思って・・・」 瀬戸があたふたしながら答える。 「て事は、見てたんだな?」 「・・・見てた」 俺が聞くと、体を起こして涼太をじっと見ながら瀬戸が答えた。 こいつ、やっぱ涼太狙いじゃねーか。 ・・・おもしろくねぇ。 「見てたなら、しょうがねーな。瀬戸、お前には特別に、涼太が俺にヒイヒイ言わされるとこ、見せてやるよ」 「え!?ちょ・・・あお、ちょっと待て・・・」 俺を制止しようとする涼太を背後から抱え、ゆっくりと下から押し上げるように中へ入る。 「いっ、あ、あ・・・」 涼太が痛みで肩を震わせながら、少し前屈みになる。 下を向いた涼太の顎を後ろから掴んで仰け反らせ、瀬戸に顔が見えるように持ち上げた。 「涼太、下向いてたら、俺で気持ちよくなってる涼太の顔が瀬戸に見えねーだろ。ちゃんと見せとけよ」 「・・・や、だ。見・・・んな」 恥ずかしさと快感で震えている涼太の顔と体を、瀬戸は息を飲んで凝視していた。 「涼太に触ったり、汚ねえチンコ勃たせたら殺すからな」 俺がそう言うと、顔を真っ赤にした瀬戸がゴクンと唾を飲み込む。 「あおっ、瀬戸は、青が・・・」 はあ~。涼太、まだそんなバカなこと言ってんのかよ。 「なわけねぇだろ。こいつは高校の時から、涼太が好きなんだよ。なあ、瀬戸?」 「なんで、知って・・・」 俺の、涼太に関わる危機管理能力をなめんな。 「だって、じゃあなんで青の話で、顔赤らめて・・・」 「おおかた、俺に抱かれてる涼太を想像してたんだろ」 「・・・・・・」 無言のまま俯く瀬戸。 俺は涼太の腰を思いっきり引き下げ、奥を突く。 「ひぁっ!うぅ・・・っ」 「涼太、声我慢しろ。聞かせんなよ」 「あ・・・でも・・・」 「これは、すぐ誰にでも尻尾振る涼太へのお仕置きでもあるんだからな。嫌なら簡単に男寄せんじゃねえよ」 涼太の奥に当たるように何度も下から腰を突き上げる。 「・・・っ、・・・っ、せ、と・・・頼、むからっ、見るっ、な、あぅ・・・んんっ!」 後ろがきゅうっと締まり、涼太の体の力が抜けていく。 「瀬戸、涼太のイキ顔、可愛いかったか?でも残念。サービスはここまでだ。今から本気で泣かせるから。わかったらさっさと出てけ」 バタバタバタバタ・・・バタン! 瀬戸が前屈みで走って部屋を出ていく。 ふう。悪者退治も楽じゃねーな。 「あお、てめぇ・・・」 涼太が振り返って、涙を溜めた目で俺を睨む。 「涼太がここでするって言ったんだろ?怒んなよ。今からちゃんと甘やかしてやるから」 涼太の頬にチュッと口付ける。 「・・・ほんとメチャクチャだな、おまえ。青と一緒にいたら、飽きるどころか心臓もたねえよ、オレ」 と言いつつ、涼太は、ふ、と呆れた様に顔を緩ませる。 その横顔を見て、俺は胸がきゅんと切なくなる。 はぁ~、幸せ。 俺の何もかもを涼太は受け入れてくれる。 そんな涼太に甘えすぎていたのかもしれない、と気づくのは、しばらく後になってからだった。

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