131 / 210
第132話 交錯 3
もう、嫌だ・・・。
キレた青に無理矢理抱かれて、何度も突かれてイカされて、体にもう力が入らない。
それでもまだ求めてくる青が、オレは怖かった。
「あ、お・・・も、むり・・・もう、出な・・・い」
「出ねぇなら中でイケばいいだろ」
そんな・・・。本当にもう無理なのに。
「う・・・、ふぇ、もぉ、やだぁ、ぅ、う」
辛くて涙が出てくる。それでも止めてくれない。
「涼太、俺が好き?」
「すき、だから、もぉ・・・やめ・・・」
「俺だけ好き?」
「あお、あぁっ、だけぇっ・・・うう・・・」
「俺しかいらないって、言って」
なんで、こんなこと言わせるんだろう。たとえ言葉に嘘がなくても、こんなこと、無意味に思える。
「青しか、いらな・・・」
「離れないって言って」
「・・・う、ふぅっ、も、やだっ、抜け・・・」
離れないとは言えない。嘘になるから。これだけは絶対に譲れない。
「言え!離れないって」
「ひっ、あ・・・ああ・・・、やぁ・・・」
後ろから思い切り突かれて、思わずイッてしまう。もう出るものは何も無いのに。
もう本当に嫌だ。青がわからない。
オレといることで青がこんな風になっているんだとしたら、もう一緒にいない方がいいとさえ思えてくる。
ようやく青がオレの中に吐き出して開放される。
力無く横たわるオレの体を青が優しく抱きしめてくれる。
さっきまでの激しさが嘘みたいに柔らかく包み込まれて、胸がぎゅっと熱くなる。
「涼太・・・。俺は離れたくない。わがままでもなんでも、涼太のそばにいたい。でも・・・」
青の静かな声が心地よくて、疲れ果てたオレはそのまま眠ってしまった。
その日から青は求めてこなかった。
突然大人しくなった青を不審に思ったけど、オレは上海行きの準備や荷物をまとめることに忙しく、何より体への負担から開放されたことですっかり気を抜いていた。
そして、上海行き三日前。
「涼太、タケル、頑張ってこいよ~!お前らは俺の誇りだ~!」
「小林くん~、小林くん~!ああ~!もう私の願いは聞いてくれないのね~!裏切り者~!」
日本での出勤が最後だったため、店長とあさみさんがスタッフを集めて送別会を開いてくれた。
「本当にお世話になりました。ありがとうございます」
「ほんとよ、お世話したわ、仕事だけじゃ無く、青くんとの・・・」
「あさみさん!もういいです、それは!」
酔っ払うと、BL愛が溢れるあさみさんはすぐこれだから・・・。
「離れて平気なの?」
「まあ、離れてみないとわかんないんで。たぶん大丈夫です」
あれから、青はついてくるなんてわがままを言わなくなったし、大学もバイトもマジメに行ってるみたいだし。
「涼太さん、三日後、成田に昼までには行ってないとダメですよ。俺、迎えに行きましょうか?」
子供扱いすんなよな。
「ねーちゃんが送ってくれるから大丈夫だよ。タケルこそ」
「じゃあ、俺は寄りたいとこあるんで、空港で待ち合わせましょう」
送別会は深夜まで続き、部屋に帰る頃には午前三時をまわっていた。
疲れた・・・。ありがたかったけど、あさみさんと店長がウザすぎたな・・・。
帰ったオレは、寝ている青を起こさないようにシャワーを浴び、ベッドに寝転がった。
酒が入っていたせいもあり、横になってすぐに睡魔に襲われそのまま眠ってしまった。
「う・・・ん」
翌日目を覚ましたオレは、肌寒さに自分の腕を抱えて擦る。
・・・あれ、オレ、こんな服着てたっけ?
ふと自分の体を見ると、大きめのワイシャツ一枚しか着ていない。
・・・寝る時はTシャツとスウェットパンツって決まってんだけどな、オレ。
起き上がって、部屋を出ようとして、右の足首に違和感を感じた。
「え・・・なに、コレ」
右足首に着いたベルトから伸びたチェーンが、ベッドのパイプと繋がれている。
「は?何?強盗?ちょ、青~!おーい!」
パニックになったオレは青に助けを求めた。
「何?涼太」
ドアを開けて青が部屋に入ってくる。
「よかった。青は無事か・・・。ちょっとこれ見ろよ!強盗でも入ったんじゃねーか?」
青に足首を見せる。
「ああ。強盗じゃねぇよ。こういうの、監禁っつーの」
え?監禁?・・・もしかして、青、がこれを・・・?
「涼太、逃がさねぇからな♡」
満面の笑みを浮かべる青。
・・・・・・・・・・・・・・・
はあ!?
ともだちにシェアしよう!