133 / 210
第134話 escape 2
はあ~・・・。
青に監禁されて半日。なんか、もうどうでも良くなってきたな。このまま監禁されたままでもいいような気分になってくる。
「涼太、飯食う?」
「食う」
ベッドのパイプに固定されていたチェーンが青の足首に固定されて、ふたりが繋がった状態でリビングに行く。
「あ!ハンバーグじゃん!やった~」
テーブルの上に、大好物のチーズハンバーグが用意されていて思わずテンションが上がってしまう。
「おまえ、監禁されてるって分かってんの?ほんと流されやすいな」
ほんとだ・・・。なに短時間で順応しちゃってんだよ、この状況に!情けねー!
・・・でも
「ハンバーグに罪はねーだろ!」
「マジで単純だな」
青が呆れた顔でオレを見る。目が合うと、ふ、と青の顔が緩んで、オレは胸が痛くなった。
オレが近くに居れば、青に苦しい思いさせずに済むんじゃ・・・
ふと、仕事よりも青を優先してしまいたい気持ちになる。
でも、オレはもう子供じゃない。社会人としての責任もある。今更、上海行きを断る訳にはいかない。
・・・その前に監禁されてて行けねーか。
「なあ。パンツくらい履きたいんだけど。ブラブラすんのやだ、寒い」
「はあ?ブラブラするほどデカくねーだろ!我慢しろ!」
オレが何気に気にしてることを・・・クソ。
「寒くてこれ以上縮んだらどーすんだよ。パンツ履かせろ」
「なんのための監禁だよ。ワガママ言える立場じゃねーだろ!」
なんて言いつつも、青の部屋に連れていかれてパンツを履かせてもらえるオレ。
「なんでオレの荷物が青の部屋にあるんだよ」
「勝手に逃げ出さねー様に、預かってるだけですー。ホラ、戻ってハンバーグ食えよ」
監禁だとか言ってこんな鎖で繋いでるくせに、なんでハンバーグ用意したりパンツ履かせてくれたりすんだ?酷いんだか優しいんだかわかんねー・・・。
「涼太、トイレは?」
「う~ん、しとこっかな」
チェーンは1メートル程しか長さがないため、トイレのドアは完全には閉まらず、すぐ外で青が待っている。
「覗いたらコロス」
「そこまで悪趣味じゃねえ!」
トイレを済ませた涼太を再びベッドに繋ぎ、部屋を出ようとして呼び止められる。
「青、オレ暇なんだけど」
こいつ・・・、マジで自分がヤバイ状況だってわかってんのか!?適応能力半端ねえな。
「なに?なんかしたい?」
「・・・つーか、なんですぐ部屋から出てくんだよ。一緒にいればいいだろ」
へ?な、なんだよそれ。俺は、涼太を繋いで閉じ込めてるんだぞ!?そんな相手となんで一緒にいようと思えるんだよ!
マジわかんねぇ。
「一緒にいたら何するかわかんねーぞ」
「なんかするつもりで繋いでるんだろ?」
そーなんだけど・・・だからって、受け入れんなよ~!
涼太をベッドに横に寝かせて、向き合うように抱きしめると、涼太は遠慮がちに俺を抱き締め返してくる。
クソ可愛いな、こいつ~!!
「青・・・。ごめんな」
なんで涼太が謝るんだよ・・・。
俺の勝手でこうなってんのに・・・。
だけど、俺はここで涼太を解放する訳にはいかない。
どうしても・・・
ともだちにシェアしよう!