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第134話 escape 2

はあ~・・・。 青に監禁されて半日。なんか、もうどうでも良くなってきたな。このまま監禁されたままでもいいような気分になってくる。 「涼太、飯食う?」 「食う」 ベッドのパイプに固定されていたチェーンが青の足首に固定されて、ふたりが繋がった状態でリビングに行く。 「あ!ハンバーグじゃん!やった~」 テーブルの上に、大好物のチーズハンバーグが用意されていて思わずテンションが上がってしまう。 「おまえ、監禁されてるって分かってんの?ほんと流されやすいな」 ほんとだ・・・。なに短時間で順応しちゃってんだよ、この状況に!情けねー! ・・・でも 「ハンバーグに罪はねーだろ!」 「マジで単純だな」 青が呆れた顔でオレを見る。目が合うと、ふ、と青の顔が緩んで、オレは胸が痛くなった。 オレが近くに居れば、青に苦しい思いさせずに済むんじゃ・・・ ふと、仕事よりも青を優先してしまいたい気持ちになる。 でも、オレはもう子供じゃない。社会人としての責任もある。今更、上海行きを断る訳にはいかない。 ・・・その前に監禁されてて行けねーか。 「なあ。パンツくらい履きたいんだけど。ブラブラすんのやだ、寒い」 「はあ?ブラブラするほどデカくねーだろ!我慢しろ!」 オレが何気に気にしてることを・・・クソ。 「寒くてこれ以上縮んだらどーすんだよ。パンツ履かせろ」 「なんのための監禁だよ。ワガママ言える立場じゃねーだろ!」 なんて言いつつも、青の部屋に連れていかれてパンツを履かせてもらえるオレ。 「なんでオレの荷物が青の部屋にあるんだよ」 「勝手に逃げ出さねー様に、預かってるだけですー。ホラ、戻ってハンバーグ食えよ」 監禁だとか言ってこんな鎖で繋いでるくせに、なんでハンバーグ用意したりパンツ履かせてくれたりすんだ?酷いんだか優しいんだかわかんねー・・・。 「涼太、トイレは?」 「う~ん、しとこっかな」 チェーンは1メートル程しか長さがないため、トイレのドアは完全には閉まらず、すぐ外で青が待っている。 「覗いたらコロス」 「そこまで悪趣味じゃねえ!」 トイレを済ませた涼太を再びベッドに繋ぎ、部屋を出ようとして呼び止められる。 「青、オレ暇なんだけど」 こいつ・・・、マジで自分がヤバイ状況だってわかってんのか!?適応能力半端ねえな。 「なに?なんかしたい?」 「・・・つーか、なんですぐ部屋から出てくんだよ。一緒にいればいいだろ」 へ?な、なんだよそれ。俺は、涼太を繋いで閉じ込めてるんだぞ!?そんな相手となんで一緒にいようと思えるんだよ! マジわかんねぇ。 「一緒にいたら何するかわかんねーぞ」 「なんかするつもりで繋いでるんだろ?」 そーなんだけど・・・だからって、受け入れんなよ~! 涼太をベッドに横に寝かせて、向き合うように抱きしめると、涼太は遠慮がちに俺を抱き締め返してくる。 クソ可愛いな、こいつ~!! 「青・・・。ごめんな」 なんで涼太が謝るんだよ・・・。 俺の勝手でこうなってんのに・・・。 だけど、俺はここで涼太を解放する訳にはいかない。 どうしても・・・

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