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第135話 escape 3
どうしても・・・
やっぱり一緒にいたい。
自分が監禁されてんのに、全然危機感ねーし、わがまま言うし、まるで普段と同じ様に過ごしてっし・・・真性のバカだな、涼太は。
「このまま上海行けなくてもいいのかよ」
「・・・」
寝てるし!
ちょっとくらい警戒しろよな!
・・・俺は、なにやってんだ。ひとりで熱くなって、こんな犯罪みたいな事までして。
「涼太、寝るな。なんかされるつもりなんだろ?」
「ん、・・・そーだった。つい」
「そんな無防備だから、痛い目にあうんだよ。いい加減学習しろよ」
「青じゃなきゃ警戒してるし」
嘘つけ。警戒してる奴が何人も男寄せるわけねぇだろ。
「なあ、・・・やる?」
俺の顔を見ずに、涼太はボソッと呟く。
「朝、イケなかったからムラムラしてんの?」
「う・・・バレたか」
「酷くしてもいいんだな?」
「・・・いい。青の気が済むなら」
涼太は、本当にバカだ。口は悪いし無神経で、俺が想う100分の1すら俺の事なんか想ってない。だけど・・・
俺が涼太にすることを、最後には赦してくれる。
おそらく、このまま監禁して上海に行けなくなったとしても、きっと。
俺が額に口付けると、頬を紅潮させて涼太が固まる。
「恥ずかしいことすんな。早くいつもみたいにやれよ」
「無理矢理されんのがいいのか?」
「っ、そうじゃねぇ、けど」
触れるだけのキスを、俯いた涼太のつむじから瞼までゆっくり丁寧に落としていく。
涼太の長い睫毛が小刻みに震えているのを唇で感じて、愛しくて堪らなくなる。
そのまま、頬にいくつかキスをしてようやく唇を重ねた。
涼太はすぐに深いキスを求めたが、俺はそれに応えず、シャツと下着を脱がせ、涼太のかたちを確かめるように時間をかけて全身に口付けていった。
「青、も、いいって・・・。なんか、おまえヘンだぞ。なんでそんな風にすんだよ」
「しー。いいから黙ってされてろよ」
「でもオレっ」
口を塞ぐようにキスをして、今度は舌を絡めとり咥内を隅まで舐めると、涼太の前が濡れてくる。
「あお、もういいから。早く・・・」
「黙ってろって言っただろ」
俺は、涼太が求めている『いつもみたい』な事は一切せず、壊れ物を扱う様に涼太を抱いた。
ふたりが繋がる頃には、先から溢れていたもので涼太の腹部はいつも以上に濡れていた。
抱いている間ずっと、涼太の反応全てを目に焼き付けたくて、肌で覚えていたくて、何もかもが俺の一部になればいいと思った。
俺達は、一晩中抱き合って朝を迎えた。
「涼太、からだ辛いよな。大丈夫か?」
「・・・だいじょうぶ、じゃない。・・・なあ、青」
起き上がれず、横になったままの涼太が俺の目をじっと見つめてくる。
「オレ、青と一緒にいる。仕事は・・・別に他探せばいいし、なんとかなる。だけど、青はひとりしかいないから」
涼太の言葉に、俺は何も返せなかった。
代わりに、涼太の足首のベルトを外して涼太の部屋を出た。
疲れ切っていた涼太は夕方になってやっと自分の部屋から出てきてシャワーを浴びに行った。
チェーンを外した後も涼太は逃げること無く俺のそばにいた。
俺は、涼太がそばにいれば、それでいい。
それが、俺の望んでいた全てだから。
全てのはずだった。
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