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第189話 罰ゲーム 3

バスルームから出てすぐに青に捕まって、濡れた髪と体を雑に拭かれる。 あっという間にバスタオルでぐるぐる巻きにされて、荷物みたいに肩に担がれてそのまま青の部屋に連れていかれた。 「青っ、オレまだパンツ履いてないって!おろせよ!」 「履いたって汚れるだけじゃん。裸の方が色々めんどくさくないだろ?」 ベッドにポイッと放り投げられて、仰向けで簀巻きになって動けないオレの体に重なるように青が乗ってくる。 「おーもーいー!何がしてぇんだてめぇは!オレをミイラにでもするつもりか?」 「ミイラ?それもいいかもな。だけどまずは出張中の報告からしてもらおっかな?」 ・・・ですよね~。 帰ってきてすぐに聞かれないから、気になってないのかと思ってたのに。 「・・・・・・・・・っつーわけで、もーほんっと、なんもなかったから!」 簀巻きになったオレの上で、一瞬も目を逸らさず出張中のアレコレを聞く青。 事情聴取かよ・・・。なんか、細かいことまで話さなきゃいけない気になって、言わなくてもいい事まで言ってしまった気がする。 「ほー・・・。タケルと一緒に寝て、瀬戸にハグされて、佐々木に跨ったのは、涼太にとったらなんもなかったうちに入るんだな?」 もしかして、言葉のチョイスが悪かった? 「あの、なんもなかったって言うのは、違うかな?えと、大事には至らなかった?みたいな?」 これが正解だ! オレは青に向かってドヤ顔を作る。 それに応えるように青の笑顔が返ってきて・・・。 だけど青の、笑顔が・・・引き攣ってる。というか、青筋まで見えそうなくらい、強ばってる。 「言い方変えたところで俺が許すと思ってんのか!」 至近距離で怒声を食らってしまい、ぎゅっと目を閉じる。 「きったねぇ!ツバかかっただろ!許すも許さないも、なんもないっつてんだからそれでいいじゃん!」 「触ったら浮気つったの忘れたのかよ」 バスタオルを剥がされて、何も身につけていない状態になった途端、急に恥ずかしさが込み上げた。 「オイ、なんでオレだけ裸にすんだよ。青も脱げよ」 「何ごまかしてんの?」 「べ、別に、ごまかしてない・・・どーせヤるんだろ。だったらさっさと脱げばいいじゃん・・・・・・ふぁぁっ」 首から臍まで、青の指がつうーっと滑る。 「このからだ、俺のなんだけど?勝手にさわらせていいなんて、許可してない」 「・・・は?これはオレの体・・・」 「ここにちゃんと名前が書いてある」 え・・・? 内腿のタトゥに触れられて、ハッとした。 そうだった・・・。オレは青のもんだった。こんなタトゥまで入れたのに! 青が怒ってんのはきっと、他のヤツとなんかあったとかそういうことじゃないんだ。 オレに、自覚が足りないから。 誰かに何かされてもいいなんて、絶対思っちゃいけなかった。 「涼太のからだは誰のもの?言えよ」 見下ろす青の瞳が鋭くて、熱っぽくて・・・求められているんだと感じて、オレはいつもみたいに振る舞えなくなってしまう。 「青、の、もの」 青が作り出す、心地悪いような甘いような、この雰囲気にのまれたくないのに。 どんどん惹き込まれていってしまう。 セックスは嫌じゃない。寧ろ、すげー気持ちいいし、好きだって思う。 でも青と・・・なんか甘ったるい感じになるのが、いまだに小っ恥ずかしいというか・・・。いつまでも慣れないというか・・・。 「涼太、好きだよ。俺以外に尻尾振るなよ。頼むから」 前髪を上げられ、額に青の唇が触れた。 こんな恥ずかしい事して「好き」とかサラッと言っちゃって、どこの国の王子だよ。 「涼太がちゃんと俺のだって分かるように、お前につけたい物あるんだけど、いい?」 「オレにつけたいもの?」 「ああ。涼太に似合うと思って買ってきた。サイズ合うかわかんねぇけど」 サイズ?・・・・・・え。もしかして、恋人にあげたい物ってやっぱ、アレだよな? 体を起こされて、青と向かい合って座る。 「目瞑ってて」 言われるまま目を閉じる。 これは、絶対にアレだよな?所謂、指に嵌めてパートナーがいるって主張するための・・・。 あ、なんかドキドキしてきた。 素っ裸の時に受け取る物でも無いような気もするけど・・・。まあ、青がどうしても今じゃなきゃっていうなら・・・。 期待でニヤけそうになるのを我慢して、青が嵌めやすいようにさりげなく両手を開いて、あぐらを組んだ自分の膝の上に置いた。 どんなやつくれるんだろ?もしかしてペアだったり?イヤ、さすがにそれは恥ずかしいな~・・・ 「涼太、めっちゃ似合いそう」 青の言葉と同時に、首元でカチャカチャと音がする。 え?指輪じゃない・・・?ネックレス? 「いいよ、目開けて。やっぱ黒にしてよかった~!ちょっとデカかったけど、めっちゃ似合ってるし」 目を開けて、自分の首周りを手で触ってみる。 は!?これって・・・ 「なんで首輪!?指輪とかネックレスじゃねーのかよ!!」 オレの純粋なドキドキを返せ!! 「誰にでも尻尾振って懐いて躾がなってない涼太にはピッタリだろ?」 「うっ!」 首輪に付いたリードを引っ張られて、青と顔が近付く。 「躾の時間だ。上手に出来たらちゃんとご褒美やるからな」 青の満面の笑みに、背中を冷や汗が伝う。 ・・・冷静に考えれば、出張の後に青が優しいなんて、あるわけないんだよな・・・。

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