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第3話
今日も営業成績は最低だ。また自分1人だけ1件も契約が取れなかった。営業終了後に主任にロープレという名のイジメを受け、先輩方にもクソみそに罵られた。
意気消沈して控え室に戻ると、そこには昼間ちらっと姿を見かけたあの青年がいた。
「あんたって相変わらず、お人好しなんだね」
2週間ほど前にゲイバーで助けた青年だ。
顔を合わせるなり嘲笑うように言われて、優大はカッとなった。仕事が上手くいかなくて自分にイラついていた。
「……見てたのか」
「うん。昼間もちょくちょくね。あんた、先輩方にいいように利用されてたよね。さっきだって、言い返してやればよかったじゃん。人の客取るなってさ」
「部外者の癖に口出ししないでくれ。いろいろあるんだよ。そんな簡単じゃない」
「だから、お人好しって言ってんの。向いてないんじゃないの? この仕事」
「だったら君がやってみろ!」
「大声出さないでよ。こんな詐欺師みたいな仕事、僕なら死んでもやらないけどな」
優大はわなわなと唇を震わせた。咄嗟に言い返せないのは、自分でもそう思っているからだ。
「それよりあんた、落ち込んでるなら、僕が慰めてやろうか?」
青年は椅子から立ち上がると、優大の前にしゃがみ込んだ。戸惑う優大のスラックスの股間部分に、指先でそっと触れてくる。
「今夜、僕、手違いでホテル取れてないんだよね。ここ、気持ちよくしてあげるから、一晩あんたの部屋に泊めてくれない?」
そう言って見上げる青年の目が妙に色っぽくて、優大はドキッとした。
「……ここで?」
「嫌なら部屋に行ってからでもいいけど?」
優大は目を泳がせた。
ストレスが溜まっている上に落ち込んでいて、青年に揶揄われて気分が妙に昂っている。頭の中がぐちゃぐちゃで、まともな思考能力が停止状態だ。
「じゃあ、部屋に行こう」
自分で自分の言葉に驚いた。だが青年はにこっと嬉しそうに笑うと
「話が早くて助かるよ、あんた。名前なんて言うの?」
「……優大」
「僕は透。ひと晩よろしくね。嫌なこと全部、忘れさせてあげるからさ」
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