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第9話
出張から戻って自分のアパートの部屋に着くと、優大はようやくホっとして、大きなため息を吐き出した。
1週間分のスーツケースの荷解きもそこそこに、ごろんっとベッドに横になる。
そのまま、知らないうちにぐっすり寝入っていたらしい。淫夢を見て飛び起きた。思わず下腹を見ると、何年かぶりに夢精していた。
夢には透が出てきた。
白くほっそりした身体を蠱惑的にくねらせて、自分の上にのしかかってくる。その素肌を抱き寄せて、赤い唇と舌を貪った。小さな尻の狭間を指で弄り、昂りきった自分のモノをひくつく入口に押しつける。腰を突き入れようとして、その直前で目が覚めたのだ。
夢から覚めてもしばらくの間、心臓がドキドキうるさかった。
「今日は調子、よかったじゃん」
その日の営業を終えて、会場責任者と先輩方が食事に出た後で、優大は会場の掃除をしてから控え室に荷物と資料を取りに戻った。
そこには、先週と同じように、透がいた。
パイプ椅子に座って脚を組み、にやにやしながらこちらを見上げている。
「見てたのか」
「まあね」
「ひょっとして今日も泊まる部屋、ないの?」
内心ちょっと期待しながら、でもさり気なさを装って聞いてみる。
「あるよ。この町で1番いいホテル。ツインで予約してる」
資料用のファイルをバッグに押し込んでいた優大は、驚いて顔をあげた。
「え。ツイン?」
「そ。こないだのお礼に。一緒に来て」
透はそれだけ言うとさっさと立ち上がって、出口に向かう。優大は慌ててその腕を掴んだ。
「待ってくれ。お礼って、あれは俺、宿泊費出してないよ。会社の経費だ。それに今日も会社が予約した部屋があるから」
透はくるっと振り返ると、意外にも真剣な表情でじっとこちらを見つめて
「僕と寝るの、嫌?」
「っ、い、嫌じゃ、ないけど、」
「じゃあ、行こ?」
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