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第2章「芳野 透」第1話
「やめろって。そういうの、僕もうやんないから」
「つれないこと言うなよ。俺たち、ここのオーナーからちゃんと許可貰ってるんだぜ。金だって払ってる」
男の1人がそう言って笑いながら、透を抱き竦める。透は顔を歪めたが、すぐに諦めて目を伏せた。
やっぱりあの男はもう、自分に飽きたのだ。そろそろここもお払い箱ということだろう。下手に抗えば、殴る蹴るの暴行を受けた上に、結局は無理やりレイプされる。だったら大人しく言うことをきいた方がマシだ。
抵抗しない透に、男たちが群がって服を脱がせはじめる。
この路地は袋小路になっていて、男たちが塞いでいる方向にしか逃げ道はない。ガタイのいい男5人を一度に相手にしたら、身体がどうにかなってしまうかもしれない。だが、それならそれでもいいと思った。どうせ自分には、まともな人生など無縁なのだ。
ふと、1ヶ月前まで自分に優しくしてくれた男の顔が、頭をよぎった。
優大という名の通り、包み込むような大きな優しさをくれた男だった。
……優大……。
透は目を閉じて、脳裏から彼の笑顔を振り払った。
身体中をベタベタと這い回る手。あちこちを舐め回され、噛みつかれ、唇で吸い付かれる。
男の1人に顎を押さえられて無理やりねっとりとキスをされた。下腹に絡みつく指。尻の狭間の窄まりにも指が忍び込む。
男の愛撫に馴らされた身体は、嫌悪を感じながらも反応してしまう。 透は、呻き声を必死に堪えながら、男たちの指を後ろに受け入れていた。
「ほら、少しは声出せよ」
「すごい。指2本ずぶずぶ入っていくぜ」
「こいつはビッチだからな。いろんな男にケツ差し出して生きてるんだよ」
ワックスのベタベタが気持ち悪い。
男たちの下卑た笑い声や荒い吐息が気持ち悪い。でも一番気持ち悪いのは、自分の身体だ。
男たちの言う通り、馴らされた身体は傷つけられぬように自衛本能が働いて、無意識に力を抜き、侵入者を容易に受け入れる。
そして浅ましく、苦しさの中に何とかして快感を拾いあげようとするのだ。
男の太い指が一番感じる場所を掠めた。ビリビリっと電流が駆け抜けて、遠は思わず仰け反って喘いだ。
「ああ……っは、ぁあ……っ」
「はははっ。エロい声が出たぜ。ここが気持ちいいんだな」
男たちが喜んで口々に囃し立てる。
店の脇の錆びた非常階段にうつ伏せに押さえつけられて、男たちに好き勝手に全身を弄り回された。
ビッチなのは自分でもよく分かっている。
余計なことは言わずに、5人とも、さっさと突っ込んで終わらせてくれ。
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