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第3話

「病院、行かなくて、ほんとに大丈夫かよ?」 「うん。平気だよ。もうだいぶ痛みは治まったから」 透が服を着ると、2人で路地裏から逃げ出した。腹を押さえ、少し足を引き摺る優大に肩を貸して、表通りで流しのタクシーを拾う。 後部座席に乗り込んで、優大がアパートの住所を告げても、透は黙っていた。 「あんた、腕っぷし全然強くなさそうなのに、なんで助けに入るんだよ。最初ん時もそうだったけど」 「あー……あはは。そうだね、喧嘩はからっきしなんだけどな」 優大はさっきから、こちらをまったく見ようとしない。 透は黙り込んだ。 タクシーの中に、重苦しい沈黙が漂う。 どうして助けてくれたのだろう。 たまたま通りかかったのか?あの裏路地に? ……そんなはずはない。 きっと会いに来てくれたのだ。 突然いなくなった自分を探しに来たのか。 でもだったら何故、そっぽを向いているのだろう。 明るく答える口調も、なんだかすごく空々しい。 タクシーは優大のアパートに近づいている。 あの部屋に、いまさら行ってどうする? また前のように一緒に暮らすのか? 自分には眩しすぎる、この男と。 透は身を乗り出すと 「そこで停めてください」 運転手に告げた。 開いたドアから外へ飛び出すと、慌てて金を払った優大が追いかけてきた。 透は後ろを振り返らずに、ずんずん歩く。 「待って。ねえ、待ってよ、透くん」 公園の入口で、優大がようやく追いついて肩を掴んできた。透は足を止めて、横目で彼を睨みつける。 「待って、くれ」 「なんで僕を助けたの?顔を見るのも嫌なくせに」 透がそう言うと、優大はちょっと怯んで、傷ついたような顔をした。 ……ああ。嫌だな。あんたのそういう顔は見たくない。 「君に、あ、会いたかったんだ。どうしても、もう一度会って、謝りたかった」 「謝る? 何をだよ?」 透が身体ごと真っ直ぐに向き直ると、優大はうろうろと視線を泳がせ、1歩後ずさった。 「君を、傷つけたことを、謝りたかった」 透はため息をついて首を竦め 「ちょっとこっち、来てよ」

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