21 / 24
第4話
優大の手を掴んで、薄暗い夜の公園の中へと入って行った。噴水のそばのベンチまで行くと、くるっと振り返り
「で。何を謝りたいって?僕を傷つけたって何?」
イライラしながら畳み掛けると、優大はまた怯んだ顔になり、目を逸らした。 透は手を離して、ドスンっとベンチに腰をおろし
「傷ついてるの、あんたの方だろ?勝手にいなくなったの、こっちなんだからさ」
「……それは……でも……」
「はっきり言えよ!なんで黙っていなくなったんだって。謝りたいんじゃないんだろ?文句言いに来たんだろ?あんた」
優大はおずおずとその場に膝をついた。
透はぎょっとして、目の前にある彼の顔を見つめる。
「な……なに、やってんの」
「ごめんね、透くん。俺は君のこと、傷つけていたんだよね。君はゲイじゃないのに。最初にそう言っていたのに。無理して俺に抱かれていたんだろう?すまなかった。酷いこと、して」
そう言って深々と頭をさげる優大に、透は泣きたくなって顔を歪めた。
違う。そうじゃない。
自分は傷ついたりしていない。
こいつのアパートを飛び出したのは事実だけど、それは傷ついたからじゃなくて。
「違う」
「……え?」
「違う。どうしてあんたが、謝るんだよ。そうじゃ、ないじゃん」
優大が顔をあげる。
透はくしゃっと顔を歪めて
「傷ついたりなんか、してない。あんたのアパートは、僕が今まで生きてきた中で一番、居心地がよかった」
「っ、透くん、」
「あんた、僕が嫌がることは絶対にしなかったし、セックスだって優しかった。生まれて初めて、僕は怯えないで朝までぐっすり眠れた。あの部屋に帰るの、毎日すごく楽しかったんだ」
優大は目を見開き、透の手を掴んできた。
「……あ……じゃあ、だったら、どうして」
ともだちにシェアしよう!