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第10話
ジャケットを脱がされベッドに押し倒されると、すぐにキスで唇をふさがれた。今度は僕の全てを奪いつくすような、激しいキス。必死に課長にしがみついて、僕は課長の想いに応え、絡みつく舌を受け止める。
「灰田…二人きりのときには、睦彦って呼んでいいか?」
「はい…そう呼んでもらえると、嬉しいです…。あ、あの、僕も陽さんって、呼んでもいいですか…?」
もちろんだ、といいながら、陽さんは僕の額にキスをする。初めて下の名前で呼んだ。少しくすぐったくて、明日の朝に少し冷静になったら、きっと今より恥ずかしいんだろうな、という予感がする。
耳たぶに顎、首筋と唇が移動する。時々舌先が、敏感な肌をくすぐる。
「あふっ…」
思わず声が出てしまって、恥ずかしくて唇を噛んで我慢するけど、
「もっと――声を出せ」
そう言いながら陽さんは、僕の弱い所ばかりを舌でいじめる。
「んっ…、や、やだ…」
首筋を舐めながら、乳首までいじられる。指の腹で撫でられているだけなのに体が疼いて、このまま触られ続けたら、これだけで射精してしまうんじゃないかってほどだ。
「睦彦は、ここをいじられるのが好きなのか」
陽さんの口に含まれた乳首は、軟体動物みたいに蠢く舌のされるがまま。ああっ、そこが好きというより、陽さんにされること全部が好きっ。
「あっ――そんなに…吸ったりした…ら…ぁ」
乳首を強く吸われて甘噛みされて、下半身はもう窮屈だ。普通のパンツでよかった。あの変なペニスケースなら、痛かったかもしれない。
布越しに、陽さんの指が触れる。すっかり勃っている先端部分を撫でられて、ちょっと恥ずかしい。そこはもう、すでに――
「濡れてるじゃないか、ん?」
少し意地悪に言われて、全身が熱くなる。
「は…はい、気持ちいいから…」
長い指と大きな手のひらが、僕の頭を撫でる。
「睦彦が正直者なのは、性格だけじゃなくて体もなんだな。素直で可愛い」
頭を撫でられて子供扱いされてる上に、“可愛い”なんて大人の男が言われて嬉しい言葉じゃないはずなのに。陽さんにされること、言われることが全部嬉しい。
「あ…ん…。陽さ…、お願い…直に…触って」
普段言えないワガママも、二人っきりなら言える。今夜は思い切り、陽さんに甘えたい。
「じゃあ、思う存分可愛がってあげよう」
パンツをずり落ろされた。先端がびしょ濡れで糸引いてて恥ずかしい。そこを擦られると思ったら、陽さんはいきなり口に含んだ。強い吸引力で、唇を使って扱かれる。
「やっ…、いきなり…そんな…ぁ」
舌を使って、全体を舐め回される。時々袋も揉まれて、耐えられなくて陽さんの口内でビンビン暴れる。陽さんは仕事ができるだけじゃなくて、フェラチオもできる人だ!
「も…もう…、ダメ…」
生まれてこの方、彼女ができたことがなく、風俗なんかも行ったことがなくまるっきりの童貞な僕は、陽さんの技にあっけなく果てた。
…そう…こともあろうか、陽さんの口の中に…。
「あ…陽さんっ…離して…ください…」
どうしよう! 今、絶対飲みこんでる! イケメンでカッコよくて、おまけに僕の上司である陽さんが、よりにもよって僕なんかの精液を飲むなんて…。
「ご…ごめんなさい…」
初めてのエッチなのに、思いっきりカッコ悪い。涙目で謝る僕に、陽さんは笑顔で応える。
「構わない。睦彦が、俺の口で気持ちよくなってくれたって証拠だからな」
仕事では厳しい陽さんが、エッチのときには凄く優しい。どうしよう、僕は絶対、陽さんに溺れてしまう。そして、甘えてしまうんだ。けど、甘えっぱなしじゃいけない。
「あの…僕も陽さんにしてあげたい…いいですか?」
陽さんは一つうなずくとシャツを脱ぎ、ベルトを外してスラックスを脱いだ。ベッドの上に膝立ちになり――これって、僕がパンツをずらすってこと? 童貞には高すぎるハードルだ。
ゴム部分に手をかけるけど、緊張で震えてしまう。思い切ってずらすと、硬く勃起したペニスがピンと飛び出した。
恐る恐る手を添える。硬い。太さや長さは普通だと思うけど、真っ直ぐで形がきれいだ。色も黒ずんでいない。
ここまでの動作が遅い僕だけど、陽さんはじっと待ってくれている。仕事だったら、もたついてたら怒鳴られていただろうな。
片手をベッドについて、くわえる前に一言陽さんに断る。
「え…えぇと、し、失礼します」
頭の上から“フッ”と笑い声が聞こえて、恥ずかしい気持ちのまま、陽さんをくわえた。
他人のペニスって、こんな感触なんだ。自分のと同じようで、なんだか違うような気がする。巨根というわけではないけどかなり大きく、口に入れるとかなり圧迫される。鼻がつまっていたら、きっと窒素する。
陽さんみたいにうまく吸えないけど、一生懸命唇を使って扱いていたら、頭上から陽さんの声が聞こえてきた。
「はっ…あ…、気持ちいいぞ…睦彦…、うっ」
さっきの陽さんの言葉が、よくわかる。自分の愛撫で感じてくれている、それが嬉しい。嬉しいから、息苦しくなっても、もっとフェラチオしたいって思う。
けど、陽さんはいきなり腰を引き、僕の肩をつかんであお向けに押し倒した。
「我慢できない…睦彦に挿れたい…っ!」
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