10 / 12

第10話

 ジャケットを脱がされベッドに押し倒されると、すぐにキスで唇をふさがれた。今度は僕の全てを奪いつくすような、激しいキス。必死に課長にしがみついて、僕は課長の想いに応え、絡みつく舌を受け止める。 「灰田…二人きりのときには、睦彦って呼んでいいか?」 「はい…そう呼んでもらえると、嬉しいです…。あ、あの、僕も陽さんって、呼んでもいいですか…?」  もちろんだ、といいながら、陽さんは僕の額にキスをする。初めて下の名前で呼んだ。少しくすぐったくて、明日の朝に少し冷静になったら、きっと今より恥ずかしいんだろうな、という予感がする。  耳たぶに顎、首筋と唇が移動する。時々舌先が、敏感な肌をくすぐる。 「あふっ…」  思わず声が出てしまって、恥ずかしくて唇を噛んで我慢するけど、 「もっと――声を出せ」  そう言いながら陽さんは、僕の弱い所ばかりを舌でいじめる。 「んっ…、や、やだ…」  首筋を舐めながら、乳首までいじられる。指の腹で撫でられているだけなのに体が疼いて、このまま触られ続けたら、これだけで射精してしまうんじゃないかってほどだ。 「睦彦は、ここをいじられるのが好きなのか」  陽さんの口に含まれた乳首は、軟体動物みたいに蠢く舌のされるがまま。ああっ、そこが好きというより、陽さんにされること全部が好きっ。 「あっ――そんなに…吸ったりした…ら…ぁ」  乳首を強く吸われて甘噛みされて、下半身はもう窮屈だ。普通のパンツでよかった。あの変なペニスケースなら、痛かったかもしれない。  布越しに、陽さんの指が触れる。すっかり勃っている先端部分を撫でられて、ちょっと恥ずかしい。そこはもう、すでに―― 「濡れてるじゃないか、ん?」  少し意地悪に言われて、全身が熱くなる。 「は…はい、気持ちいいから…」  長い指と大きな手のひらが、僕の頭を撫でる。 「睦彦が正直者なのは、性格だけじゃなくて体もなんだな。素直で可愛い」  頭を撫でられて子供扱いされてる上に、“可愛い”なんて大人の男が言われて嬉しい言葉じゃないはずなのに。陽さんにされること、言われることが全部嬉しい。 「あ…ん…。陽さ…、お願い…直に…触って」  普段言えないワガママも、二人っきりなら言える。今夜は思い切り、陽さんに甘えたい。 「じゃあ、思う存分可愛がってあげよう」  パンツをずり落ろされた。先端がびしょ濡れで糸引いてて恥ずかしい。そこを擦られると思ったら、陽さんはいきなり口に含んだ。強い吸引力で、唇を使って扱かれる。 「やっ…、いきなり…そんな…ぁ」  舌を使って、全体を舐め回される。時々袋も揉まれて、耐えられなくて陽さんの口内でビンビン暴れる。陽さんは仕事ができるだけじゃなくて、フェラチオもできる人だ! 「も…もう…、ダメ…」  生まれてこの方、彼女ができたことがなく、風俗なんかも行ったことがなくまるっきりの童貞な僕は、陽さんの技にあっけなく果てた。 …そう…こともあろうか、陽さんの口の中に…。 「あ…陽さんっ…離して…ください…」  どうしよう! 今、絶対飲みこんでる! イケメンでカッコよくて、おまけに僕の上司である陽さんが、よりにもよって僕なんかの精液を飲むなんて…。 「ご…ごめんなさい…」 初めてのエッチなのに、思いっきりカッコ悪い。涙目で謝る僕に、陽さんは笑顔で応える。 「構わない。睦彦が、俺の口で気持ちよくなってくれたって証拠だからな」  仕事では厳しい陽さんが、エッチのときには凄く優しい。どうしよう、僕は絶対、陽さんに溺れてしまう。そして、甘えてしまうんだ。けど、甘えっぱなしじゃいけない。 「あの…僕も陽さんにしてあげたい…いいですか?」  陽さんは一つうなずくとシャツを脱ぎ、ベルトを外してスラックスを脱いだ。ベッドの上に膝立ちになり――これって、僕がパンツをずらすってこと? 童貞には高すぎるハードルだ。  ゴム部分に手をかけるけど、緊張で震えてしまう。思い切ってずらすと、硬く勃起したペニスがピンと飛び出した。  恐る恐る手を添える。硬い。太さや長さは普通だと思うけど、真っ直ぐで形がきれいだ。色も黒ずんでいない。  ここまでの動作が遅い僕だけど、陽さんはじっと待ってくれている。仕事だったら、もたついてたら怒鳴られていただろうな。  片手をベッドについて、くわえる前に一言陽さんに断る。 「え…えぇと、し、失礼します」  頭の上から“フッ”と笑い声が聞こえて、恥ずかしい気持ちのまま、陽さんをくわえた。  他人のペニスって、こんな感触なんだ。自分のと同じようで、なんだか違うような気がする。巨根というわけではないけどかなり大きく、口に入れるとかなり圧迫される。鼻がつまっていたら、きっと窒素する。  陽さんみたいにうまく吸えないけど、一生懸命唇を使って扱いていたら、頭上から陽さんの声が聞こえてきた。 「はっ…あ…、気持ちいいぞ…睦彦…、うっ」  さっきの陽さんの言葉が、よくわかる。自分の愛撫で感じてくれている、それが嬉しい。嬉しいから、息苦しくなっても、もっとフェラチオしたいって思う。  けど、陽さんはいきなり腰を引き、僕の肩をつかんであお向けに押し倒した。 「我慢できない…睦彦に挿れたい…っ!」

ともだちにシェアしよう!