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第11話

 陽さんの“挿れたい”の言葉に、僕のペニスが再び勃ち上がった。怖いけど、陽さんを受け入れたい。  ピンク色の小瓶の蓋を開け、陽さんがローションを指に絡ませる。 「少し冷たいけど、我慢してくれ」  アヌスに指先が当たる。まだ当たっただけなのに、体が強張る。でも陽さんの指は、周囲を優しく撫で、穴の部分は強く押すだけ。いきなり入ってグチャグチャかき回す、なんてことはしない。だから安心して身を委ねられる。 「あ…、いや…」  こんなところをヌルヌルした指でいじられて、すごくいやらしい気分になる。 「もっとよく見せてくれ」  膝の裏を持ち上げられ、指で穴を押し広げられ、部屋はルームランプの灯りだけなんだけど、陽さんの目の前に恥ずかしい所をさらしている。 「やだ…恥ずかしい…!」  眼鏡の無い陽さんが、優しい目で僕の秘部を見ている。ローションまみれの指が、そっと穴を広げた。ゆっくりと、指が侵入する。ああ、陽さんがこんな所に指を――そう考えただけで、鈴口からトロトロとだらしなく蜜があふれてきた。 「指がこんなに気持ちいいなんてな。睦彦の中は想像以上だ」  耳元でささやかれた。舌がぐるりと耳を舐める。“愛してる”と低い声が、鼓膜を震わせる。その振動は体じゅうを震わせ、僕の体から緊張を取り去った。 「あ…陽さん…入って…きて」  言ってしまった後、陽さんの顔をまともに見られなくなった。そんなことを言い出してしまうなんて。こういうことをするのは、初めてなのに。  陽さんはペニス全体にローションを塗り、僕の腰を抱えて先端をアヌスに当てた。 「挿れるぞ」  僕がうなずくと、指とは比べものにならないほどの苦しさが訪れた。けど、それは最初の方だけで、多分亀頭が全部埋まったころだろうか、その苦しさは快感に変わった。 「はあっ…、もっと…奥…まで」  不思議だ。もっと痛くてつらいと思ったのに。もしかしたら、エトワール鈴木がくれたローションのおかげかな。普通に店で手に入る物と言ってたけど、それに魔法をかけてくれたのかな。 「大丈夫か、睦彦?」  陽さんの指が、僕の髪を撫でる。そうして優しくしてくれるから、僕はつい甘えてしまった。 「…苦しい…です」 「そうか」  陽さんが僕に覆いかぶさる。唇や頬、鼻の頭にいっぱいキスしてくれて―― 「痛くないように、ゆっくりしてやるからな」  そう言って、またキスしてくれて。あんまり優しくて嬉しいから、ジンとなって涙が出た。 「だ、大丈夫か?! そんなに痛いのか?」  ゆっくり腰を引いた陽さんは、僕の尻を撫でてくれる。そして、目尻にたまった涙を唇で吸い取ってくれる。  背中がゾクゾクする。こんなに優しくしてくれるなら、毎回“痛い”って言っちゃおうかな、なんて悪いことを考えてしまう。 「平気…です。陽さんが気持ちいいなら…」 「そうか、痛くなったらまた言うんだぞ」  再び陽さんが入って来た。ヌルヌルした先端に奥までつつかれて、気持ちいい。 「あっ…ふぅっ…!」  引いては押して、をゆっくりと繰り返し、その度に最奥をつつかれて、そのうち僕は陽さんにしがみついて、自ら腰を振っていた。 「はっ…、あ…陽さ…、ぁ…」 「くっ…! 睦彦の中…凄く…熱いぞ…。うっ…」  汗でじっとり濡れた肌同士が合わさる。それでも不快感はなくて、互いの汗が混じってひとつになって溶けてゆくみたいな、トランス状態にさせてくれる。  結合部分からは体温で温まったローションが、いやらしい音を立てる。  もう何も考えられなくなって、ただ陽さんの名前を呼ぶだけだ。 「睦彦…イクぞ…っ」  僕の体からペニスが引き抜かれた。あの熱が去っていくようで、何だか寂しい。でも、今度は腹の上に陽さんの熱を感じる。僕の中で感じてくれて、最高潮にまで達した証。勢いがいい陽さんの精液は、僕の胸元まで飛んできた。 「睦彦…愛してる」 「陽さん…僕も愛してます」  しばらく抱き合って、長いキスをしていた。不意に陽さんが体を起こし、風呂に行こうかと僕の手を引いて体を起こしてくれた。  風呂場で、バスタブに湯を張りながら、陽さんは僕を丁寧に洗ってくれた。 「あっ…そ、そこはいいですっ」 「俺が全身、きれいにしてやる」  背中だけでなく、前も泡だらけにして洗われた。おかげで萎えかけていたペニスがまた勃起して、恥ずかしい。 「僕も陽さんの背中、流します」 「そうか、じゃあお願いするかな」  泡だらけのスポンジを渡された。陽さんの背中に回ろうとしたら、正面から抱きしめられた。 「この状態で洗ってくれ」  だ、抱き合ったままで~?! 人の背中流すなんて初めてなのに、陽さんには次々に高いハードルを越えさせられる。  恐る恐る手を背中に回して、陽さんの広い背中を洗った。その合間に額にキスされたり、股間を押しつけて擦ったり。そうしているうちに、陽さんもまた勃起した。  シャワーで泡を流し、二人で湯につかった。バスタブの半分ほどだけど、二人で入るとちょうどいいかさだ。陽さんの前に、僕が座る形になる。 「こんなに硬くなってたら、もう一度出してやらないとな」  そう言って、陽さんは僕のペニスを握った。お風呂の中で、第二戦目突入?!

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