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さんsideりつ

初めて自分の腕を切ったのは、いつだったかな。何回も何回も繰り返すうちに、忘れてしまった。だけど、真っ赤な血が膨れて流れ落ちる様を見て、体の中がぽかぽかと暖かくなったのは覚えている。この血を流しきってしまえば、楽になれると安心したのだ。希望はここにまだ残っている、と。 だけどそれが良くないことだというのも、ちゃんと理解している。 どうして切るのか、と聞かれても答えなんて持ち合わせていない。切ってはだめだ、と言われればその通りだと思う。自傷行為なんて、普通じゃない。異常で、病気だ。 そんなのもう何千回何万回も、色んな人に言われてきた。 だけど、皆そんなことを言うけど、じゃあ、僕を助けてくれるの?助ける術も持っていないし、助ける気もない癖に、無責任なこと言わないで。 暴力に塗れた環境から、誰も救ってくれなかった。助けなら求めた。毎日耐えた、泣いた、叫んだ。だけど何も変わらない。誰にも僕の声なんて届かなかったんだ。 だったらもう、死ぬしかない。痛くて苦しいだけの人生はもう、十分だ。 こんな命、誰が望んでいるって言うの。 自分すらも望んでいない命なんて、いらない。 「りつ」 声が、聞こえる。 優しい声。 暗闇から引きずり出してくれた優しい人。 こんなに弱い僕でごめんなさい。 大好きなのに、大事にできない。 きっと貴方から幸せを全部奪ってしまう。 ごめんなさい。ごめんなさい。 生きていて、ごめんなさい。

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