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はじめましての-2

2人を伴ってリビングへと入ったが、肝心のりつの姿がなかった。 子猫のように家のどこかに隠れてしまったんだろう。りつは郵便や宅急便配達の人にも怯えて、インターホンが鳴った時は必ずどこかに隠れていたから予想はできていた。 2人に断ってゆうじはりつ探しを始める。いつも隠れている脱衣所にはいなかった。 てことは、寝室かな? 「りつー?どこに隠れてるの?」 薄暗い寝室でりつの名前を呼んだ。返事はないが、微かに気配を感じる。ベッドの後ろへ回り込むと、りつが壁との間で膝を抱えて座っていた。 「いた…。そんなとこ、狭いでしょう?出ておいで。」 「…っ、あ、あの…、ぼく…っ」 大きな目には涙がいっぱいに浮かんでいて、指先が微かに震えているのが見える。 さっきまでは落ち着いて普通に見えたんだけど。やっぱり怖いよね。 ゆうじはりつと向かい合うようにしゃがんで、りつの細い髪に触れた。昨日切ったばかりの髪は艶やかで、りつの綺麗な顔がよく見える。 「怖くないよ。俺がいる。」 髪を触れていた手を下ろし、そのままりつの手を握った。冷えてしまった指先に、自分の体温を伝えるように。 「…あの男の人はね、十束って言って、俺が働いてる会社の社長さんなんだ。俺とりつが生活しやすいようにいつも気を使ってくれて、ずっとりつに会いたいって言ってたんだよ。」 はっとりつが息を飲んだのを、ゆうじは見逃さない。 「一緒に来てる女の子はさくらちゃんって言う十束の子どもで、とっても素直で可愛い女の子。さくちゃん、りつと友だちになれるかなって緊張してた。りつと同じだね。」 「ともだち、」 「そう。今日は痛いことも難しい話もお薬もない。俺の大好きなりつを、2人に紹介したいんだ。頑張らなくていい。背伸びしなくていい。無理に笑わなくてもいい。」 「ぼく…嫌われない?」 「りつのこと嫌いなんて言ったら俺が許さない。」 「上手にできなくても、ゆうじ…ゆうじは…嫌いにならない?」 「なるわけないでしょ。どんなりつも大好きだよ。」 りつの目から涙が1つ落ちて、握っていた手に力が籠ったのを感じた。

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