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EXTRA

ぶるりと身を震わせた高坂の腹の上に飛沫が散る。互いの汗が混ざり合う中に弾けたそれを感じつつ、荒い呼吸を隠す余裕も失っている住吉は、それでも片手で高坂の熱を探る。吐精の余韻が残る陰茎をなぞられた高坂が悩ましげに眉を寄せた。 「…っ、ダメ、もう…、」 触らないで、と呟く高坂の上気した額に唇で触れる。喘ぎに掠れた声で口にする言葉とは裏腹に高坂の雄はまだ緩くではあるが芯がある。まだ萎えてはいないだろうと伝えるように人差し指で形をなぞると、高坂の中に入り込んだままの住吉の欲が蠢く肉壁に締め付けられる。 「は…、…主任、…ねえ、もっと奥、入っていいですか…、」 「おく…?」 欲が、頭を擡げた。 自分は何処まで貪欲になるのかと内心で呆れもするが自分を受け入れる熱さに抗えない。呼気混じりの声は無意識に甘えたような色を帯び、反応した高坂が蕩けてしまいそうな瞳の中に不思議そうな色を浮かせて視線を送り返す。意味を問う眼差しすら欲情を煽るばかりで、住吉は緩く腰を動かしては、高坂の身体の奥、まだ深く触れたことの無い窄まりに先端を宛てがった。 「あ…?」 「…ここ、…主任、まだ知りませんよね」 びく、と揺れる腰を宥めるように撫でては今度は意識して甘い声を出す。様子を伺うように窄まりを撫で、小刻みに叩き、柔らかくなるだろうかと試みる。 これまでに住吉によって散々貪られ、自分が生きてきた中で知ることのなかった快楽を引きずり出され、植え付けられていたと思っていた高坂の身体が、まだ知り得ぬ感覚に戸惑い震える。高坂の腕が、住吉の二の腕に触れた。見ると、怖い、と目で訴える瞳がある。すっかり淫蕩に染っていたはずの目に走る怯えの色に、抑え込んでいた理性が、飛んだ。 「主任。…力、抜いて貰えますか」 「なに…、」 ぐ、と腰を押し付ける。同時に浮き上がりそうな高坂の腰をベッドに固定するように下半身に力を込め、勢いのままに高坂の奥の奥、狭い秘所に亀頭だけを埋め込んだ。 「——ァ…!?っ…!!」 がくんと音がしそうな程に高坂の喉が反る。同時に両膝を震わせ、未開の場所に侵入された衝撃に大きく目を見開いた。苦しいのか、はくはくと唇を動かしては、住吉の二の腕を力の限りに握り締めている。住吉は住吉で、腕に食い込む指と共に狭い肉輪に亀頭の付け根がぎゅうぎゅうと締め付けれる感覚に思わず眉間に皺を寄せる。 「…ッ、痛…、主任、大丈夫ですから、手、」 「やだ、やだ、怖い…っ、ちひろ、やだッ、」 深い箇所を穿たれ、どうにも動けなくなった高坂の声にいよいよ涙が混ざる。ぽろぽろとこぼれ落ちる滴にようやく我に返るような罪悪感が芽生えた。やり過ぎたか、とゆっくりと腰を引き、音を立てるように亀頭を抜くも、今度は窄まりから内蔵が揺さぶられるような衝撃を受けた高坂が大きく身体を跳ね上げた。 「ヤ、っァ…!ぁ、あ…っ、」 腹の間で揺れていた高坂の熱からぷし、と体液が迸る。住吉もまた、震える高坂の身体に包み込まれたまま腹の奥に濃い白濁を注ぎ込んだ。 「……っ、」 射精の余韻に浸りながら高坂の中から熱を逃す住吉の下で、高坂が胸板どころか、全身を上下させて大きく呼吸を継いでいる。しばらく互いの呼吸の音だけを聴いていたが、やがて高坂の瞳の上に大粒の滴が溜まり始めた。高坂が自ら片腕で自分の顔を覆って隠す。 「……主任、あの、」 「も…、やだ、こんな、…っ、なんで、…っ、智洋としたら、…変になる、」 こぼれる涙を隠すことも拭うこともせず、顔を歪ませて泣き出してしまう高坂を見下ろす住吉の中に、自分には存在していなかったはずの嗜虐心が疼く気配を感じる。好きな子だからわざと泣かせたい、などというのは時代遅れだと誰かが言っていたが——これもその種の感情なのだろうか。 「…すみません。主任。…あの、…そんなに泣かないで…」 「智洋が泣かせたんだろ…っ、」 淡い罪悪感と征服欲が入り交じる。高坂の止まらない涙に辛うじて罪悪感が勝った。詫びを入れる住吉を睨む瞳は滴に覆われている。今にもしゃくりあげてしまいそうな程に無防備に涙する高坂を途方に暮れたように見下ろすばかりの住吉ではあるが、涙混じりに呼ばれる自分の名と、自分を詰りつつもそれでも二の腕を掴んで離さない高坂の手指に、込み上げる邪な思いを必死に押し殺していた。

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