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第6話

 失敗だったと思った。  周りはカップルだらけで、いい年をした男二人は悪い意味で目立っているような気がする。だが颯太はとても楽しそうでそのことを伝えられなかった。はしゃぐ颯太の少し後ろを歩いていると急に手を掴まれてどきっとする。 「颯太くん、手……」 「誰も見てませんよ」  ぐいぐいと引っ張られていった先はジェットコースターだった。千尋は一度も乗ったことがなく、落ち着かなくて思わず颯太に近付いていた。 「颯太くん、僕、ダメかも……」 「これ、初心者用です。大丈夫」 ──俺、彼女とも行ったことなくて。  なんで初心者用と知ってるんだろう。なんとなく胸がちくりとする。だがすぐに千尋たちの乗る番がやってきて千尋は恐怖で声が上擦っていた。 「颯太くん、怖い」 「大丈夫」  バーが膝に下ろされるといよいよコースターは上に向かってゆっくりと上がり始めた。カッカッと滑車の音がやけに大きく響いて千尋は思わず颯太にしがみついた。 「颯太くん!」 「そう。そうやってしがみついてて」  急旋回するたびに千尋は大きな声を出して、颯太はそれを笑って見ている。颯太はもしかして自分に意地悪をしているのではないかと思い始めたが見つめてくる瞳がとても優しくてそうではないと確信する。 ──颯太くん。どうして、こんな僕に優しくするの……?  ぎゅっとしがみついた手に温かい手が重なってきて千尋は頬を染めた。  

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