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捕まえるのはだぁれ?(塚不二←サエ跡忍白)

 この場にいる全員が、驚いたに違いない。 「お、跡部クンに忍足クンやん」 「あーん?」 「……あぁ、白石やんか、珍しいな。東京まで何しに来たん」  東京、それも青春学園の校門前に、関係のない他校の生徒が顔を合わせると言う希少な状況。 「あれ?みんなどうしたんだ?」  そこにまた他校の生徒が一人。 「えーと、確か……」 「千葉の六角中の佐伯、」 「そやそや、佐伯クンやった」  共通点は青学と戦ったことのある学校、しかも3年同士。 「この集まりは不思議やな」 「せやなぁ。ちゅうか、なんでみんなココにおるん?」 「別に大した用事じゃねぇよ――」 「じゃあ帰って貰おうか」 「っ!?」  跡部の言葉を遮るように割り込んだ声。みなが校門を振り替えると、青学ジャージに身を包んだ生徒が眉間に皺を寄せながら腕を組んでいた。 「手塚クンやないの」 「意外だな」 「どうしたん、えらいお出迎えやなぁ」 「お前たち、何故ここに来た」 「何故って、決まってるじゃないか」  青学に属さない面々は口を揃えた。 「不二(クン)に会うため」  手塚の眉間の皺が深くなる。 「そない怒らんといてーな、俺ら、正々堂々戦った仲やないの」 「お前たちには関係ない。部外者は立ち去れ。さもなくば、校外100周するか」 「相変わらず酷いな」 「俺様に指図する気か手塚ぁ」 「跡部だろうが弟だろうが関係ない」  はぁ、と誰ともなくため息が聞こえたところで、 「あれ?お揃いでどうしたんだい」  渦中の人物、不二が顔を出した。 「手塚ってば、様子見てくるって行ったきり全然帰ってこないんだもの、大石が頭抱えてたよ?」 「すまない、こいつらに捕まってな」 「他校との交流も大事だけど、程々にね?」 「あぁ」  先に戻るよ、と不二は手を振って校内へと走った。手塚は再び険しい顔を浮かべ 「不二の姿を見れただろ、帰れ」 と威嚇した。 「しゃーないな」 「また今度にしよか」 「そうだな」 「今度は薔薇の花束でも用意するか」  面々が口々に呟いて回れ右、をした瞬間に、あ、と手塚が再び口を開いた。 「言っておくが、不二は俺のものだ。手を出したら乾汁より酷い目に合うと思ってくれ」  それだけ言い捨て校内へと戻っていく手塚の背を見つめながら、四人は暫く間抜けな顔で固まっていた。 END 10月誕生日組で不二くん取り合い!でも手塚のもの!な話でした。

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