14 / 35
捕まえるのはだぁれ?(塚不二←サエ跡忍白)
この場にいる全員が、驚いたに違いない。
「お、跡部クンに忍足クンやん」
「あーん?」
「……あぁ、白石やんか、珍しいな。東京まで何しに来たん」
東京、それも青春学園の校門前に、関係のない他校の生徒が顔を合わせると言う希少な状況。
「あれ?みんなどうしたんだ?」
そこにまた他校の生徒が一人。
「えーと、確か……」
「千葉の六角中の佐伯、」
「そやそや、佐伯クンやった」
共通点は青学と戦ったことのある学校、しかも3年同士。
「この集まりは不思議やな」
「せやなぁ。ちゅうか、なんでみんなココにおるん?」
「別に大した用事じゃねぇよ――」
「じゃあ帰って貰おうか」
「っ!?」
跡部の言葉を遮るように割り込んだ声。みなが校門を振り替えると、青学ジャージに身を包んだ生徒が眉間に皺を寄せながら腕を組んでいた。
「手塚クンやないの」
「意外だな」
「どうしたん、えらいお出迎えやなぁ」
「お前たち、何故ここに来た」
「何故って、決まってるじゃないか」
青学に属さない面々は口を揃えた。
「不二(クン)に会うため」
手塚の眉間の皺が深くなる。
「そない怒らんといてーな、俺ら、正々堂々戦った仲やないの」
「お前たちには関係ない。部外者は立ち去れ。さもなくば、校外100周するか」
「相変わらず酷いな」
「俺様に指図する気か手塚ぁ」
「跡部だろうが弟だろうが関係ない」
はぁ、と誰ともなくため息が聞こえたところで、
「あれ?お揃いでどうしたんだい」
渦中の人物、不二が顔を出した。
「手塚ってば、様子見てくるって行ったきり全然帰ってこないんだもの、大石が頭抱えてたよ?」
「すまない、こいつらに捕まってな」
「他校との交流も大事だけど、程々にね?」
「あぁ」
先に戻るよ、と不二は手を振って校内へと走った。手塚は再び険しい顔を浮かべ
「不二の姿を見れただろ、帰れ」
と威嚇した。
「しゃーないな」
「また今度にしよか」
「そうだな」
「今度は薔薇の花束でも用意するか」
面々が口々に呟いて回れ右、をした瞬間に、あ、と手塚が再び口を開いた。
「言っておくが、不二は俺のものだ。手を出したら乾汁より酷い目に合うと思ってくれ」
それだけ言い捨て校内へと戻っていく手塚の背を見つめながら、四人は暫く間抜けな顔で固まっていた。
END
10月誕生日組で不二くん取り合い!でも手塚のもの!な話でした。
ともだちにシェアしよう!