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「俺、四信先輩が、好きです、大好きです、先輩としてじゃなくて、抱きしめたい、キスしたい、それ以上のことだってしたい、そういう、好き、なんです」  びっくりするほどかっこ悪い告白。もっとスマートに、穏やかに告白しようと思ったのに、いまの俺はただ思ったことをそのまま言葉にしていっている。  みっちーだったらもっと自信満々かもしれない、いっちゃんだったらきっとスマートだった、なっちゃんならどうするんだろうな、いつも軽いなっちゃんが本気になったら俺なんてぜったい負ける。俺が勝てるところなんて、ひとつもない。ああ、ひとつだけあった。四信先輩が好きだという気持ちは、なっちゃんにも、誰にも、負けていない。負けるわけがない。だって、昨日より、いまのほうがもっと四信先輩が好きだ。そうやって俺は毎日四信先輩を好きになる。  四信先輩は困ったように眉尻を下げたかと思えば、照れくさそうに頬を赤らめたり、なにか言いたげに口を開いてはやっぱり閉じたりと、忙しい。だけどその表情を見ていたら俺でもわかる、俺の告白は四信先輩に響いたということ。ほんのすこしかもしれない、だけど、なにかしら四信先輩に届いたのだ。 「四信先輩は、俺のことどう思いますか」  四信先輩の肩に腕を置いて、じっと四信先輩を見つめる。  さっきまでは太陽みたいな笑顔を俺に向けていて、余裕のお兄さん顔だったのに、いまはどうだ。俺と視線を合わせるのが恥ずかしいのか、だけどそれがバレたくないと、視線がうろうろ泳いでいる。  なんなんだこのかわいい人は。どうにかなりそうなんですけど。どうしてくれるんですか四信先輩。  なんとか暴走しないように、必死に理性を働かせる。ここでキスなんかしようものならバカだ。俺の理性、頑張れ。 「……俺のこと嫌いですか」 「んなわけねえだろ!」 「じゃあ、好きですか」  わざとずるい聞き方をする。まるでいっちゃんみたいないじわるさをだしてしまったと後悔しつつも、四信先輩の気持ちを知りたかった。もし、好きじゃないと言われても、諦めてあげられない。ものすごくへこむだろうけど。 「……俺は恋愛がわかんねえ。つーか怖いのかもしんねえ」 「また捨てられたら、いやだからですか」  ひとりごとのように呟いていた四信先輩の言葉をそのまま口にすると、四信先輩はびくりと肩を跳ねる。  どうして、怖いんですか。そう聞いてしまいたい。だけど聞けなかった。四信先輩が泣きそうな顔しているのに、ぜったいに泣かないから。泣くものかと歯を食いしばっている四信先輩があまりにかっこいいから、なにも聞かずにただ抱きしめた。

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