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二秒で閉める_04

「おうちゃーん、顔だらしないよ」 「四信先輩のこと考えてたからかな」 「もーーそれ俺の前で言っちゃうのがおうちゃんなんだよね、敵わないわマジで」  なっちゃんだから言うんだけどと首を傾げながらミルクティーを飲む。 「俺だから言うとかちょっと嬉しいから許す!」 「なっちゃんすぐ許してくれるよね」 「むしろおうちゃんの空気感がそうさせてるよね。許したくなっちゃう末っ子感」 「なっちゃんがお母さん属性だから許しくなっちゃあのかと思ってた」 「ちがいますーおうちゃんがそうさせてるんですー」  わざとらしく唇を尖らせたなっちゃんが俺に抱きついてくる。あまりに勢いが強すぎて、気がついたら二人して屋上の床に転がっていた。なっちゃんの愛が痛い。  昼食を終えてなにやら話していたみっちーといっちゃんも俺たちの立てた音に驚いたのか「大型犬がじゃれ合ってるな」「大型犬は旺二郎だけで、七緒はせいぜいコーギーくらいじゃないの」「旺二郎はアフガンハウンドだな」「美しいのに頭が悪いと噂のアフガンか、旺二郎にぴったりだね」俺たちを犬にたとえてくる。なんだかディスられている気がするのはきっと気のせいじゃない。 「ちるちるといっくん、さりげなく俺たちディスってるよね! 俺あそこまで足短くない!」 「俺様の足が長いだけで七緒はそれほど短くないぞ、誇りを持て」 「ちるちるそれ慰めてるの?」 「ああ。俺様はどんな七緒でも愛すぞ」 「ありがとうちるちる俺も愛してる!」  俺に抱きついていたなっちゃんが今度はみっちーに向かって飛びかかる。王者の貫禄で受け止めると思ったのに、体格差なのか、細身のみっちーはなっちゃんを抱き止められず、さっきの俺たちのように二人して屋上に転がった。思わずいっちゃんと顔を合わせ、二人で噴きだしていた。  ついこの間まで、微妙な空気が流れていたけれど、なっちゃんと気持ちをぶつけ合ってよかった。前よりも、もっと仲が良くなった気がする。 「そういえばもうすぐテストだね」 「いっくんなんで急に現実思い出させてくるの? 怖いんだけど! 七月だから怪談話的な?」 「七緒は騒ぐほど成績悪くないだろう」 「えっそうなの? なっちゃんだけは俺の味方だと思ってたのに」 「おうちゃんさりげに俺をディスってる? こう見えて俺賢いんですよ!」  そうは見えないよなっちゃん。裏切り者めと思わずうなだれていると、さっきまで楽しそうにしていたなっちゃんは真剣な表情になり俺の肩に腕を回した。 「赤点になったら夏休み潰れちゃうよ。そしたら、ちゃんしーパイセンの勇姿見られなくなるよ。そんなの嫌だよね、おうちゃん」  嫌すぎる。ぜったいに嫌だ。  インハイでの四信先輩を見て、目に焼きつけて、絵を描こうって決めていた。コンクールにだすのは、インハイで焼きつけた四信先輩がいい。

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