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二秒で閉める_09
放課後のチャイムとともに、みんなで校門へ。あいかわらず主張の激しいみっちーの白馬こと白いリムジンを外から眺めていると、俺たちの気配を察したのか、運転席の窓がゆっくりと開く。いかにも年配な運転手が乗っていると思ったのに、シルバーアッシュの美青年がそこにいたからぎょっとして後ずさりした。
まぶしい。目がつぶれる。この人とみっちーと並んだら俺の目がお亡くなりになる。
「Hej,ミチル! イツキにナナも――こっちの二人は初めましてだね。ミチルの恋人、目黒千昭 です。よろしくね」
みっちーの恋人? この人が? え、なに、どういうこと?
驚いたのは俺と四信先輩だけで、いっちゃんとなっちゃんは「いつものやつだ」と顔を合わせる。みっちーにいたっては額に手を当てている。あのみっちーを困らせる千昭さんって何者なんだ。
「今のアメリカンジョーク的なやつ? 俺は上野四信、よろしくな千昭!」
「えっと俺は神谷旺二郎です、よろしくお願いします」
まったく状況を把握できていないけれど、四信先輩に続いてあいさつをして頭を下げる。
「シノブにオウジロウ、よろしくね。今日はみんなで勉強会するんだって? 俺も英語なら手伝えるよ」
「千昭は手伝わなくていい」
「じゃあ勉強しているミチルを眺めていようかな」
「もっと他にやることがあるだろう」
「ミチルを眺めるより大切なことなんてないよね」
「……千昭、頼むからもう黙ってくれないか。お前らもさっさと乗れ」
ずっと微笑みを浮かべている千明さんにたいして、眉を下げるみっちー。こんなみっちー見たことない。すごいよ、すごすぎるよ千昭さん。
みっちーの言葉に「Yes, Your Majesty.」と笑顔で返し、みっちーは助手席へと乗り込む。つづいて後部座席の扉が自動で開くと、いっちゃんとなっちゃんは慣れたものであっさり車内へと入っていく。
そんなにあっさり入っていいの、リムジンって土足オッケーなのかな、今日体育あったし清潔じゃないんだけど大丈夫かな、不安しかないのは俺だけで、四信先輩も「お邪魔しまーす」と楽しげに入ってしまった。さすが四信先輩ハートが強い。
こうなったらやけだとおそるおそる車内へ入る。運転席と後部座席の間に仕切りがあるだけで驚くのに、俺の家にあるものより大きいテレビ、冷蔵庫がある。俺の部屋より豪華かもしれない。
なっちゃんは冷蔵庫からミルクティーを取りだすと、あきらかにお酒を入れるであろうロックグラスに注いだ。「おうちゃんもなんか飲む? メロンソーダあるよー」平然と言うなっちゃんは、やっぱりセレブだと思いながら「メロンソーダ飲む」と頷いた。
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