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二秒で決める_04

「お、三千留既読早いなーさすができる男」 「俺も四信先輩には秒で既読しますよ」 「知ってる。俺も秒で既読してるだろー」 「はい、ちょう嬉しくてにやにやします」  秒で既読、秒で返信、そのうち声が聞きたくなって四信先輩に電話をする。「俺も旺二郎の声聞きたかった」そう言う四信先輩の声はいつも甘くてかわいい。思い出しただけでにやけそうになる口元をきゅっと結ぶと、みっちーからの返信。さすができる王様は返信も早い。 『白金のプライベートジェットを使え。ホテルは俺様のほうで予約しておいた。金はいらないが、そのかわりに毎日絵を描いてラインに送ってくれ』  返信どころか仕事も早い。ホテルまでとってくれるとかいたれりつくせりってやつだ。 『みっちーありがとう。いろんな絵を描いて送るね』  四信先輩の絵はもちろん、沖縄なんだから海や自然を描きたい。目にとまったものすべて、スケッチブックに描こう。沖縄の景色を水彩画で描いたら、きっときれいだ。その中に四信先輩がいたらもっと最高だ。 「みっちーさすがハイパーセレブ。でもなんで絵なんだろ。絵描くの好きだからいいんですけど」 「お前の絵、三千留も好きなんじゃねえのか。俺もすっげえ好きだし」 「……俺の絵だけですか」  ずいっと四信先輩の顔を覗き込む。いまの俺は不満げな顔になっているのかもしれない、四信先輩は眉を下げながらも優しく微笑んで頬にキスをしてくれた。 「そんなわけねえだろ、旺二郎の全部が好きだぜ」  キュン。たしかに胸が高鳴り、暴走しそうな気持ちを抑え込むために四信先輩をぎゅうぎゅう抱きしめる。  四信先輩にときめきすぎて死ぬ。死因がときめき死とか最高だな。だけどまだまだ四信先輩を堪能したいから死ねない。長生きして四信先輩にもたくさんときめいてもらおう。 「俺も四信先輩が好きです、大好きです。ずっと四信先輩のそばにいさせてください。四信先輩の輝く姿をたくさん描きたいです」  コートの上の四信先輩も、俺のとなりにいて笑っている四信先輩も、ぜんぶ描きたい。いっしょうかかっても、描きたいものぜんぶ描ききれないかもしれない。だけど、だからこそ、ワクワクする。あれもこれも描きたい、どれにしようかと悩むことさえ楽しい。  四信先輩はくるりと体ごと俺のほうに向き直り、ニカッといつもの笑顔を浮かべる。 「旺二郎、お前本当に変わったよな」 「四信先輩のおかげです」 「マジかよーじゃあ俺のおかげでもっともっと輝く旺二郎が見られるってことか。最高の気分だわ」  ふざける四信先輩に軽く噴き出し「はい、四信先輩のおかげで俺ダイヤモンドになれましたよ」じゃれるようにやわらかい唇に吸いついた。四信先輩はゆるく口角を上げると、俺の首へと腕を回す。まるでもっとしてと言われているみたいだ。ぞくぞく背筋が震えるのを感じながら、口づけを深めようと四信先輩の腰を抱き寄せた。

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