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第2話

 出雲はちょっとボリュームのある……よく言えばフワフワした、悪く言えばボサボサしたマッシュヘアだ。  目付きは鋭いが、顔は整っている。見た目だけなら女子にモテそうなんだけど……残念ながら、モテない。  それもその筈で、お察しの通り出雲はゲームオタク……略してゲーオタだ。  スマホのアプリゲームで、女子に人気のパズルゲームをプレイしているならまだしも、出雲はそういうゲームはプレイしない。  出雲がプレイしているのは、銃とかで戦うシューティングゲームなのだから、女子からしたら楽しめないだろう。好きな子は好きかもしれないけど、少なくともうちの高校にはそんな女子、いない。  学校が休みの日は、いつだって家に引きこもってゲームばかり。両親が出掛けると言ったらこれ幸いと、リビングでゲームをプレイする。将来が心配になってくる程、ゲームに人生を捧げている気さえしてくる。  対して俺は、ゲームが得意じゃない。プレイするなら出雲がやっているようなゲームより、女子が好きそうなパズルゲームだ。  何故か直らない跳ねた後ろ髪に、同年代と比べても大きな瞳を持った俺は、とっつきやすいのか男女共に友達がいる。少し太い眉毛も、黒柴のようだと貶され――褒められる程だ。  出雲はゲームが好きだが、一人でプレイする方が性に合っているらしく、誰かと協力してゲームを攻略しているところを見たことがない。出雲がクラスの男友達とゲームの話をしている場面に遭遇したこともあるが、出雲のレベルが高すぎるのか……出雲の話に、全員が小首を傾げていたのを憶えている。  俺と出雲は、趣味が合わないけど仲はいい。少なくとも、俺はそう思っている。  出雲がゲームに集中している姿を見るのは好きだし、出雲がプレイしているゲーム画面を見るのも好きだ。だから、出雲が一人でゲームをプレイしていても、俺は暇だとか退屈だなんて思ったことがない。  出雲は出雲で、俺がいようがいまいがゲームはプレイできる。一緒に居て苦ではないだろう。ちょっかいをかけても、反応はくれるし。  俺はテレビから視線を逸らし、窓の外を眺めた。

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