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第3話
外では、相変わらず激しい雨が降っている。買い物に出掛けた出雲の父ちゃんと母ちゃんは、大丈夫だろうか……そう、心配してしまう程の雨量だ。
暫くボーッと窓の外を眺めていると、視界に黒い棒状の物が映った。
「ん」
テレビのリモコンだ。
いつの間にか戦いが終わっていて、ゲームのメインメニューがテレビに映っている。
出雲は俺にリモコンを突き出しながら、短い言葉を発した。
「え、あ、サンキュ」
「ん」
出雲からリモコンを受け取り、テレビに向ける。
出雲はキッチンの方に向かって歩き出し、冷蔵庫の中を物色し始めた。
「照、何か飲む?」
「出雲と同じ物でいいよ~」
「青汁な」
「嘘だろ……」
出雲は青汁なんて絶対飲まない。
思わず起き上がって、出雲の方を振り返る。
出雲はコップ二つと、紙パックに入った牛乳を持っていた。
「賞味期限今日までだった」
「ギリギリセーフだな」
牛乳をコップに注いでから、出雲がソファに座る。
軽く体を伸ばした出雲から、パキパキと小気味いい音が聞こえた。
「んーっ……休憩」
ソファにもたれかかり、出雲が長く息を吐く。
数時間、同じ体勢でゲームをプレイしていたんだ。体が凝っても仕方ないだろう。
ゲームをプレイしている出雲を見るのは、好き。これは本当だ。嘘じゃない。
俺は隣に座った出雲の肩を、ソフトタッチで揉む。
「お客さん、凝ってますね~。手術待った無しなレベルですよ~」
「いや、くすぐったいんだけど」
迷惑そうに、出雲が肩を回す。
出雲がゲームを中断して、俺との雑談に集中してくれるこの瞬間が……俺は、一番好きだ。
いつから、出雲のことを親友以上の気持ちで見るようになったのかは、憶えていない。
出雲を好きだと自覚して、悩んだりもした。
だって、そうだろ? 出雲からしたら、俺は親友なんだ。いきなり告白されたら驚かせるだろうし、受け入れてもらえるとも……思って、ない。
特別な関係にはなれないと思う。
それでも、普通の中でも一番でいられる今の関係が、十分過ぎるんだ。
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