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第5話
出雲の両親が帰ってきて、お昼ご飯をごちそうになった後……俺と出雲は、出雲の部屋に向かう。これはいつも通りの流れだ。
両親がリビングに居る中、あのテレビでゲームはプレイできない。出雲の母ちゃんが、平日に録画していた昼ドラを見るからだ。
出雲と一緒に出雲の部屋に入り、扉を閉める。
出雲は、立派なパソコンが置いてあるデスクの椅子に座ると、パソコンの電源を付けた。
部屋に戻ったら、出雲はパソコンでゲームをプレイする。ネットを繋いで対戦する、オンラインゲームというものを、だ。
出雲の部屋に山のようにある漫画を読みながら、出雲がプレイしているゲームの様子を眺めるのが、この部屋での過ごし方。
慣れた手つきでパソコンのゲームを起動させ、出雲は武器の準備を画面上で始める。
忙しなくキーボードを叩く音も、少し丸まった背中も……大好きだ。
口元を漫画で隠し、俺は声を出さずに口だけ動かす。
『い・づ・も・す・き』
たったそれだけで、随分と気持ちが楽になる。
伝えられた気がして、思わず笑ってしまった。
「ふふっ」
「その漫画、笑えるところなんてあったっけ」
声を出して笑ってしまい、出雲がパソコンの画面に反射した俺を見る。
ちなみに俺が今借りている漫画は、人と人が殺し合い誰が生き残るかという、シリアスな場面しかない漫画だ。
「ただの思い出し笑い~」
「ふぅん」
苦し紛れな言い訳に、出雲は形だけの返事をする。ゲームのロードが終わり、戦闘が始まったのだ。
少し気を緩めてしまっていた。不審なことをして、いつバレるか分かったものじゃない。
俺は自分自身を内心で叱りつつ、漫画に目を通す。
漫画を全巻読み終わった頃には、外が真っ暗になっていた。
暗いところに目が慣れていたせいで気付かなかったが、いざ外を眺めると現状に気付く。
曇天の空も相まって、冬の夜かと錯覚してしまうくらい、暗い。
「俺、そろそろ帰るわ~」
「玄関まで見送るから、もうちょっと待って」
「いつもそんな律儀にしなくていいのに~」
俺が帰る時、出雲はいつも玄関まで見送ってくれる。
そんな優しいところも勿論好きだし、何よりも嬉しい。
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