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第6話
出雲はゲームが中断できないのか、俺に待つように言った。できるだけ出雲と一緒に居たい俺は、出雲の指示に従う。
明日から、また平日が始まる。出雲と同じ教室で授業を受けられるんだ。
平日も休日も一緒に居て、家族よりも一緒にいるんじゃないかと思う。
――だからって、付き合えるわけじゃないけれど。
画面に映っている戦闘終了までのカウントダウンが一桁になった時、大きな音が外から響いてきた。
『ゴロゴロゴロ……ガシャァアンッ!』
大きな音と共に、突然真っ暗になった部屋。
パソコンの電源が、切れたのだ。
「「うわっ!」」
二人で全く同じ悲鳴をあげる。俺は外から聞こえた雷の音に、出雲はパソコンの電源が切れたことに対してだが……そんな誤差はどうだっていい。
今起こっているのは、雷による停電だ。それはお互いに分かっている。
パソコンの光を失って真っ暗になった部屋で、出雲の悲痛な呻き声が聞こえた。
「レアアイテム、ゲットしたのに……ッ!」
停電になっても、出雲はブレない。見えないけど、恐らく項垂れているんだろう。
「照……スマホで部屋、照らして」
「分かった~」
沈んだ声でそう言った出雲の指示に従い、ズボンのポケットにスマホを入れている俺は、すぐにズボンへ手を突っ込む。
スマホを取り出して、出雲の指示通り明かりを付けようとして……気付く。
「ごめん……充電切れ」
「ベタかよ」
出雲がガッカリしたような声で呟いた。
出雲の言葉に反論できず押し黙る。
「ちょっと待ってて。僕のスマホで照らすから」
「うん、分かった~」
『タンッタンッ』と、出雲がデスクの上に手を置く音が数回聞こえた。
暗い中、手探りでスマホを探している出雲が、申し訳無さそうに呟く。
「ごめん……スマホ、リビングに置きっぱなしだ」
「馬鹿かよ」
「お前後で憶えてろよ」
出雲の返しに、思わず笑う。
かと言って、笑ったから停電が直るわけでもない。
ひとまずその場で座り込もうと、腰を下ろす。
すると、覚束ない足音が聞こえた。
「え……出雲、何してるの?」
「今、そっち行くから……うわっ!」
「出雲ッ!」
何かに躓いたのか、出雲が慌てたような声を上げる。
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