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ときめきエプロン_02

「……、つき、……っちゃんと、さわって……ひ、ぁんッ!」 「あー、もう、一志さん、可愛すぎでしょ、むり、ずるいよ、好き、大好き!」  蚊の鳴くような声で呟いたのに、五喜の耳にはちゃんと届いていた。ぎゅうっと両方の突起を強く摘まれ、うなじに舌が這い甘く歯を立てられると、ビクビク下着の中で昂りが震え、よだれを垂らす。  好き、大好き、気持ちいい、もっといっぱい触ってほしい。シンクのほうへ向けていた体を五喜のほうへ向け、両手で頬を掴むと顔を引き寄せて唇を奪った。  五喜は黒い瞳を一瞬見開くも、すぐに「一志さんの目、とろんってしてる。可愛い、一志さんの可愛い顔よく見せて」とキスの合間に囁いてくる。気持ちよくて、視界がとろとろに歪んでいるはしたない姿にさえ、五喜は可愛いと言う。いまだに可愛いの言葉には疑問を覚えるけれど、俺が五喜を愛おしいと思うことと同じ気持ちなのだろう。 「は、……っぃ、つき……、すき、だいすき……、もっと、キス、したい……ッふ、ぅ……っ」  五喜の頬を撫でとろとろした瞳で見上げると、五喜の白い頬に、耳に、火が点いたように赤くなる。「……っほんと、ずるい、一志さん、かわいい……っ」  かわいいのはお前のほうだと五喜の髪を撫でていると、ゆっくり開いた唇から舌先を絡めとられ、チュクチュク五喜の熱い唇で舌を吸われる。  あ、気持ちいい。それ好き、五喜に舌を吸われると、どうしようもなくとろける。頭の中はどこまでもぼんやりしているのに、体だけは敏感に快感を拾い上げる。しゅるり、黒いエプロンの結び目を解く指先にさえ腰が揺れてしまった。  キッチンで裸にされるのだと思うと、羞恥心からか、それとも期待か、体中が熱を持つ。五喜は服を脱がせるのが驚くほどにうまい。舌を攻められとろとろになっている隙にあっという間に脱がされている時もあれば、俺の羞恥心を煽るようにゆっくり脱がすこともある。今日はどっちだろう、なんて考えている余裕はとうになく、太腿を撫でられながら、最後の一枚であるボクサーパンツを脱がされていた。 「……っえ、ちょっ、ほんき、か」  裸に剥かれ羞恥から太腿をもじつかせていると、すっかり頭の中から抜け落ちていたフリフリの白いエプロンを着せられていた。白いからこそ、ぷっくり腫れた胸の突起や太腿の間で熱を持つ昂りが透けている。裸よりいっそ恥ずかしい。むり、いますぐ脱ぎ捨てたい。  俺の脱ぎたい欲を察したのだろう、五喜は先回りにしてくる。俺の背中に腕を回してきゅっとエプロンのリボンを結び、俺の肩を強く掴むとねっとりと欲で濡れた視線で俺の全身を舐めまわしてきた。  やっぱり成人男性が着ていいものではないのかもしれない。似合わないと萎えるに決まっていると俯くと、細身のスキニーパンツを五喜の昂りが今にもはちきれそうなほどに押し上げていた。こんな姿だとしても五喜が勃起する事実に恥ずかしさを覚える以上に、愛しくなる。 「あー、まって、むり、ちょうむり、妄想より五千兆かわいい、一志さんの褐色肌に白いフリフリエプロン似合うでしょって安易に思ったけど、妄想軽く超えてきた、ほんとかわいい、いまの僕、語彙力五くらいしかないけど大丈夫かな、一志さんがかわいすぎるせいだからね、はー……やっぱり白にして正解だった、真っ赤な乳首とか、可愛いこことか、ぜんぶ透けててほんとえっち」 「っあ……っやだ、す、うな、ぁ……ッ」  はぁーっ、五喜は熱帯びた吐息を漏らすと、エプロンの上から突起に甘く吸いついてくる。  男なのに突起を吸われて感じているなんて気づかれたくないのに、熱を持った昂りがビクビク震えエプロンを下品に押し上げてしまう。じわりとエプロンに欲が滲んでいるのも、すっかり体に力が入らないことも、きっと五喜にはお見通しだ。見られたくない一心で五喜の髪をくしゃりと掴んで、胸に強く抱き寄せた。 「もっと吸ってってこと? 可愛いなぁ、たくさん愛してあげる」 「ち、がっ……は、ぅぅ……ッぁあ、あっ!」  チラリと胸から顔を上げた五喜の意地悪い表情に顔中に熱が集まるのを感じたのもつかの間、突起をきつく吸われながら反対側の突起も指先でくにくにと捏ねられる。ああ、もう駄目だと五喜の頭を強く抱きしめると、ドロリ、熱を持った昂りから漏れた欲でエプロンの内側を汚してしまった。  快感の涙がひっきりなりにこぼれて顔はぐしゃぐしゃだし、エプロンは欲まみれ。今の俺は見るに堪えない姿だろうに、五喜は欲に濡れた瞳で俺を見つめている。その視線にさえ、快感が走りそうだ。 「あー……胸だけでイっちゃうのえっちすぎでしょ、エプロンぐしょぐしょになってるのも最高にえっち」 「は、ぁ……っ、えっちなのは、五喜のほう、だろ」 「一志さんが最高に可愛いからえっちになるだけだよ、一志さんがえっちだから、もうこんなになっちゃった」  五喜は震える指先でファスナーを下げる。黒いボクサーパンツを窮屈そうに押し上げてじわりと欲が滲んでいるのが見え、思わずひくりと喉が動いてしまう。 「一志さんも、期待してるの? ほっんとかぁわいい」  後ろポケットから五喜は使い切りローションを取り出すと、口に咥えて一気に開けた。その姿を視界に捉えるだけで、ばくばく鼓動は高鳴り、体の奥が五喜を求めてヒクヒク疼く。恥ずかしいと視線を伏せると、さっきイったばかりなのにエプロンを下品に押し上げている自身が目についた。五喜の言うとおり、期待しているとしか思えない自分の体に首を振る。さいあくだ、どこに視線をやっても逃げ場がない。 「ねぇ一志さん、後ろ向いて」 「……む、りだ」 「なんで?」 「だって、なにもはいてない、んだぞ」  突起や昂りはかろうじてエプロンで隠れている。いや、ほとんど隠れていないようなものだけど、それでも守られている。だけど、後ろは守ってくれるものがなにもない。背中や尻がむき出しになっている。こんなに明るいキッチンで、後ろを向いたら五喜になにもかも丸見えだ。想像しただけで顔から火が出そうだ。

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