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【01/優斗】キスから始まる③
寝起きに違和感があることは多い。でも、今日みたいな事は初めてだった。
心配はかけたくない。でも、目の前で泣いてしまった以上、話さなければ心配をかけてしまう。結局、キスのこと以外は和馬に話した。
「病院に行こう」
「うん……」
「図書館って、駅前のだろ? 寝ぼけて2キロも移動するか?」
「だよね」
空になった皿を重ねながら返事をした。料理をするのが和馬で、片付けは僕。どちらが言い出すわけでもなく落ち着いたスタイルだった。
「寝てる間に移動してたってことは、やっぱり夢遊病なのかな?」
「うちでは普通に寝てんだけどな」
「じゃあ何科の病院に行けばいいの?」
「さぁ、何だろうな」
和馬がスマホで調べてくれるのを横目に、食器を洗い始めた。
「心療内科、精神科、睡眠科、呼吸器科、耳鼻咽喉科……なんか色々あるな」
「その中だと、睡眠科が気になるけど、そんなのどこにあるの?」
「睡眠科って名前じゃないけど、睡眠障害を扱う病院は結構あるみたいだぞ?」
「近くにもある?」
「あぁ」
「じゃあ明日行ってみるよ」
不安なことは、なるべく早く解決したい。和馬を安心させるためにも、明るく答えたつもりだったが、和馬は呆れた顔をする。
「保険証は?」
「財布の中だけど……あ」
そうだ、財布は鞄の中。そして鞄は、図書館に忘れたかもしれないんだった。気付いた時には閉館していたため、明日にならないと確認が出来ない。
「先に図書館へ行かなくちゃ」
「なかったら交番に行けよ?」
「うん」
蛇口を止める。タオルで手を拭くと、和馬の隣に座った。
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