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【03/和馬】秘密②

「ベッドに寝ちゃって……ごめん」 「別にいい」 「よくないよ! 身体が資本でしょ? 和馬は床に寝ちゃダメなのに……」 「いや、大丈夫だから」 「ごめん。実は僕、少し夢遊病っぽいところがあって……」  朝、優斗は落ち込んでいた。だから色々黙っているつもりが、つい口を滑らした。 「いや、オレが移動させた」 「え?」 「だから気にするな」  なんで?って感じだよな。余計なことを言ったと後悔しても遅かった。 オレは誤魔化したり嘘をついたりが下手だ。だから聞かれなければ言わないが、聞かれてしまえば正直に話す。 「なんで?」 「うなされてたぞ」 「え、僕が?」 「苦しそうだったし、汗もすごかった」 「放っておいてくれて良かったのに」 「放っておけなかった」  寝言のこと、アザのこと、全部話した。優斗はぽつりぽつりと、家のことを話してくれた。  優斗が小学1年の時に、父親が亡くなった。それから母親が少しずつ狂っていった。一言で言ってしまえば虐待の話なんだが……複雑な状況だった。児童相談所の話もしたが、優斗は渋った。他人の家のことだし、強くは言えない。でも、見過ごすことも出来ないだろ? だから、好きなだけオレの部屋に泊まりに来いって言ってやったんだ。  優斗は絶対に遠慮するだろうから、よくオレから誘った。  毎日ずっと一緒だとさ、その……惚れても仕方ないだろ? ストレートに恋をしても苦しいだけだと分かりつつ、止められなかった。でも、告白なんてしたら、優斗はオレの部屋に来られなくなる。そうしたら、あいつはどうなる? せめて大人になるまでは……母親と引き離すまでは、この気持ちを伝えるわけにはいかない。  とはいえ自覚した想いってのはやっかいだ。眠る優斗を眺めて、思いを募らせ、悶々とした日々を過ごした。

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